滋賀を中心に林道、旧道、峠の記事をいっぱいアップしている「セロー寄り道日記」http://serow353.naturum.ne.jp/ は大好きなブログでツーリングの参考にさせてもらってる。最近の書き込みに、通行止めであった高倉峠が久しぶりに通行可能になったとの記事を発見。徳山村がまだあった頃、RZで体験した未舗装の高倉峠のその辺境っぷりにひどく感銘した覚えがある。またいつ通行止めになってもおかしくない山奥なので、今一度辺境を訪れてみた。
高倉峠だけでは物足りないので、気になっていた巣原峠にも挑戦した。巣原峠の取りかかり場所は情報を得ていたので、この峠を通り抜けれれば、岐阜、福井の辺境3大峠をひと筆書きで走ることができる!!
おばちゃんの家 今庄
敦賀経由でそばの有名な今庄に10時過ぎに到着。早くから開いている「おばちゃんの店」でシンプルでお勧めのおろしそばの大盛で腹ごしらえ。普通においしくって、朝10時から食べさせてもらえるのがいい。今庄では他にも「蕎麦 ふる里」などが有名だが、こちらのほうが太めの蕎麦だ。いずれも一人前の量は少ないので、大盛りにするか、もう一杯頂くか。
南越前町瀬戸
盲腸国道の476号に入って、いよいよお山に分け入ってゆく。池田町に通じる国道なのだが、山を越えることなく途切れている。その途中の瀬戸という村落から右に国道を外れ、高倉峠への道が始まる。
伊藤氏庭園
何もない山間にぽつりと地図にも記載されていて、妙に気になる名跡。伊藤氏は代々庄屋を務めてきた旧家で、江戸時代の庭園形式を今に残した庭がのこっている。実際に生活しているお宅のため、通常は見ることができないが、年に数回の一般公開日には見学も可能とのこと。
芋ヶ平
浄土真宗の僧、蓮如が匿われたとの言い伝えが残る芋ヶ平は峠への足がかりとなる部落跡。この地を切り開いたのは、滋賀永源寺の君ヶ畑から移り住んできた木地師たちであったと銘文に記載されている。君ヶ畑はバイクで何度か訪れている滋賀辺境の村落だ。そこは日本における木地師発祥の地とされており、はるばるこの越前にもその子孫が来ていたわけだ。林道塚線(高倉峠今庄側起点)
長い間この看板には通行止めの表示がなされていたはず。今日の「通行注意」は感動モノの嬉しい表示だ。いつまたここに通行止めの表示が出されてもおかしくない山奥だ。
高倉峠より今庄を望む
それなりの勾配をもって、どんどんと高度を上げてゆく。北側の遠望は晴れていたらもっとすごい景色だろう、はるか日本海も望めるらしい。さきほど上がってきた道が遙か下に見えている。ガードレールもない断崖の山岳路、落ちたらだれも見つけてくれないだろう。高倉峠
ホントに眺めのいい峠。南からの強い風がこの峠を通り抜けてゆく。20年前は舗装されておらず、砂利道をRZで登っていった。気圧のせいか、モーモーとエンジンが吹けなくってゆっくりとたどり着いたことを思い出した。通行止め解除を聞いてやってきた岐阜県側から上がってきたジムニーのドライバーと挨拶を交わす。
冠山峠への分岐路
この左分岐にあった通行止めの看板もゲートもすっかり無くなっている。冠山峠への道もクリア!! 右への登りルートをとって冠山峠へ向かう。
冠山峠
雨を心配する天気であったため、曇り空で展望はいまひとつ。岐阜側からルートは右手に冠山をみながら開けた景色の中を登ってゆく爽快なもの。これから向かう峠は雲の切れ間にあって、冠山の頂は雲の中。天候がわるく、ハイカーのクルマも少なめだった。
冠山峠道路
平成37年度の開通をめざして、峠を一跨ぎするトンネル工事現場、初めてトンネルの姿を見た。このような山奥で、約5kmの長いトンネル工事はさぞかし大変なことだろう。これができれば人の流れも変わるかもしれないが、秘境の峠道も自然にもどり、訪れることもかなわなくなるかも。
冠山峠を下りきると、周囲を山に囲まれた池田町。とても立派な鳥居と楼門のあるお社がある。諏訪とあるからには、諏訪大社の末社であろう。へんぴな山奥からこの町に降りてくると、人里っていう安心感がたっぷりだ。「まちの市場 こってコテいけだ」は地元の名産品や食事もできる施設で、ツーリングの際には休憩として立ち寄っている。
県道175号
巣原峠に向かう県道175号の起点。池田の町から分岐して、水海川に沿って登ってゆく。水海と書いて「みずうみ」とは面白い。ここから先は、自分にとって未開のルート、どんなところなのかワクワクして進む。
県道はやがて行き止まりに至るが、その手前に巣原峠に至る林道の分岐がある。これらも先達の方々の情報提供のおかげで迷うことなく進路を選ぶことができる。
途中で鋭角的に右への分岐があるが、これが峠へのルート。ここでは同類のライダーに出会って情報交換。山並みは深く、周辺には集落もない辺境の地。山の端が途切れたあたりに、巣原峠。
やがて登りは草ボウボウとなり、路肩も怪しくなってくる。それでも道は続いており、通じていることを信じて上がってゆく。この時期の藪には入りたくない、気づけば「ヒル」の餌食になってしまう。
巣原峠
峠はいきなりやってきた。まるで行き止まりのような風情であっけない。ここまでは傷つくことを恐れなければ、クルマでも上がってこれる道だった。しかしこの先の大野側の下りは、見ての通りの峡路となっている。
巣原峠の地蔵
とてもちいさなお地蔵さん。交通量はかぎりなく少なく、自分のような同好のものしか通らないであろう峠。これ以上に草が生い茂ったら、バイクでも来たくない道。大野側の下りが始まる。ほどなく崖崩れに出会うも、下り降りる事ができた。クルマは無理だし、登りだったらバイクでも厳しい個所だ。薮道になりかかった狭い下りが続くが、やがて簡易舗装となりつづら折りで高度を下げてゆく。中途には廃村となった巣原を通過するが、廃屋も跡形もなく石垣が残るのみである。
国道157号の大野側に降り着く。途中の県道上野(うわの)線と崩れかけた標識が立っている。ここからは快適な?!舗装路を温見峠にむかって駆け上がる。
温見峠
温見峠は今季2回目の来訪。南風は雨風のようで、ぽつりぽつりと降り出した。雨雲から逃げるように、揖斐へむけてお山を駆け下りた。
久しぶりの高倉峠、期待以上のワイルドさを感じた巣原峠、険しさで名の通った峠を今回はつないで走ることができた。「峠道」や「旧道」は冒険心を満たしてくれ、制覇する面白さに飽きることがない。また、その地の歴史や云われに触れることも興味が尽きない。
だけど・・自分は自力で対応するしかない単独行ばかりなので、転倒、転落などによるケガや走行困難には気をつけなきゃ。
おまけ
秋にほぼ同じコース、すっかり紅葉とすすきにかわった景色です。
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