
今年の初めに訪れた伊勢の山々、とりわけ剣峠の秘境感が気に入った。その時に廻りきれなかった西の領域を探検する事を思い立つ。このあたりは紀州の東にあたるので東紀州と地域区分されている。
玉城町
名古屋から高速乗り継いで130km、2時間でスタート地点の玉城ICをおりる。排気系をいじってあって100~120kmあたりの巡航は余力であるが、250単気筒のセローの高速道路はぜんぜん面白くない。時間短縮の移動手段としてやむを得ず高速道路を使ってるわけで、走行車線の車の流れに乗って淡々と走った。クルマも空きはじめた勢和多気あたりで、白い現行クラウンを110kmほどで追い抜いた。。。覆面さんかもしれないと疑っていたが、「ビンゴ!!」ドライバーがヘルメット被ってる(^^ゞ。。。そーっと減速しつつ、走行車線に戻ったけど。。。おとがめ無し。 その区域は80km制限だから、かなり大目に見てもらえたみたいだった。

旧能見坂峠
一般道におりるとセローのご機嫌は一変、スラッジが飛んだためなのか、アクセルのツキがよくっていつも以上に元気な印象。県道66号を南進し、県道22号を快走する。このあたりは信号も少なく適当なカーブとアップダウンが続く。そして能見峠トンネルの手前に左から旧道が現れる。本日最初の目標地、野見坂トンネルを目指す。つづれ織りの部分が非常に狭くって、普通車でも対向できない個所ばかり。2001年に新道ができるまではこの狭い峠道がメインルートであったとは思いがたいほどの鎰路だった。

野見坂トンネル
野見坂トンネル内部(とりつきいver.2さんより)2017年6月
峠にさしかかると、レンガ作りの野見坂トンネルが現れた。この峠道は明治中頃から開発され、昭和3年にこの野見坂トンネルが完成しバスも通れるようになったとされる。いかんせん100年前のトンネルはいつ崩落しても可笑しくない。数年前まではここも通ることができたが、新トンネルが開通してからは、リスクを残す必要ないのだろう、がっちりとフェンスで閉鎖されてしまっていた。とりつきいVer2さんのブログによると、1年前は通行できたことが分かる。昭和初期の主流だったコンクリート杭門ではなく明治大正の味わいをもつレンガ積み、長さは400mほどあって、素掘りやレンガ積みの天井を持っていたようだ。きっとこのフェンスが外されることは無いのだろう。もう少し前に訪れるべきだったと悔やまれる。

南島町

県道46号 南島大宮大台線
南島の庁舎がある村落から大台町のある北に抜ける唯一の山越えが県道46号。地図で見てもクネクネ山道の険道であることが想像できる。峠近くには採石場もあるようで、その搬出するためのベルトコンベアが港まで続いている。県道46号の始点よりも西にあるベルトコンベアに沿って県道を上がってみることに。

国見山鉱山ベルトコンベア
国見山石灰鉱業株式会社が正式名称で、昭和9年から採掘をしてきた。港までのベルトコンベアができるまでは、国見山石灰鉱業専用線といって、2001年まで鉄道がひかれていた。今は鉄道線路跡は道路となっているが、ところどころに線路も残って名残を見ることができる。海までのベルトコンベアを横切って林道は山奥に続いている。

南島大宮大台線
尾根伝いに高度を上げて1.5車線の舗装路が続く。どうも三重県の隘路にはガードレールもカーブミラーも少ないような気がするのは小生だけか。フロントタイヤが落石などを拾えば、ハンドルとられて谷に転落なんてことは起こりえる話。バイクごと転落すれば、誰も気づかないし捜索しにきても見つけにくい。もしも転落した場所で助けを呼ぶとしたら、まずは携帯電話だろう。でも、電波の届かないところを走ってばかりだし、いざとなったら、叫ぶしかないか。クラクションを鳴らすのもいいし、映画タイタニックのワンシーン、「ホイッスル」を携行するのもいいなあ。なんて、妄想。


藤坂峠
落石や折れた枝葉などを避けながら8km先の藤坂峠に到着。南島側は海が遠望できて深い切り通しになっていた。峠の先には峰を走る林道との交差点、これを右に回ると山頂の通信アンテナへ、これを左に取ると採石場に続くゲートが現れた。補強のされない林道の壁面は、すっかり崩れてしまい1車線しか残っていない。路肩の道路標示も半分以上埋まっている。


県道46号 南島大宮大台線
峠からの下り、切り返しのヘアピンが幾つも続き、どんどんと高度を下げてゆく。道幅も1〜1.5車線ばかりですれ違う場所も用意されていない。ヘアピンもこれだけ見晴らしがよくって、対向車が見えれば離合もなんとかなりそうな気がする。身軽なセローだから狭い山奥でも気にしなくてもいい。

阿曽温泉
里山の木屋までくると道はすっかりとよくなって、快調快走。前回の伊勢山奥ツーリングでは、「藤越」という峠を下ってこの木屋まで来ていたはず。大紀町への近道となる七保峠方面へ左折、さらに道はよくなって勾配も緩いために、七保峠は分からずに通り過ぎてしまうくらい。その先の阿曽には温泉があってそこで一服休憩。もちろんお湯に浸かることはないけど、今度家族で近くに寄ったら入ってみよう。来訪客も地元の人だけのようだから、静かにゆっくりとお風呂を楽しめそうだ。

大紀南島林道
この阿曽の部落から山に向かうと大紀南島林道とそのトンネルが待ち構えている。案内図が立っている林道始点がそれで、前回は時間切れで来れなかった所なのでワクワクして出発。しかし雲が多くって展望は全然期待できず、かつ陽が無いので肌寒い。

網掛山への登山ルートが記されており、ハイカー達も多いようだ。地図によると川伝いに西に進めばやがて先ほど超えてきた藤阪峠の県道46号線に抜けることが分かる。

林道とはいっても完全な舗装道路、ただし交通量が少ないためか、落石や枝葉の堆積が多くって走りにくい。特に落葉の堆積した中に礫石が潜んでいるとは知らずにハンドルを取られるのが最も怖い。反対に落石が多くっても、それがどでかくても、見えてる限りは避ければ大丈夫なわけで路上の石については怖くは無い。


大宮紀勢トンネル
やがて拓けた丘陵にトンネルがぽっかりと口を開いている。碑文を見て2000年に完成したトンネルだと分かる。この広大な山奥にかようなトンネルまで掘って、林道を新たに作った理由はなんであったろう? 東の藤阪峠、西の古和峠、錦峠、いずれも険しい山道であったから迂回するのも困難であったから? ウエブ上で調べてもこの大紀南島林道の生い立ちなどの記事は見当たらない。

県道33号 古和峠
古和峠も今回訪れる予定にしていたが、県のHPでは崩落による通行止めが続いているようだった。国道260号の分岐部には大型車通行不能などのお決まりの看板が立っていて、横には復旧工事のお知らせ。しかしどこに通行止めとは書かれていない。指定時間だけの通行止めなのか、日曜は休工しているのか、情報が不十分、、、峠まで距離があるので引き返すことになるのは辛い。今回はこの峠はパスすることに。

国道260号の今昔
さらに西に進んで次の目標地、錦峠に近づく。地図を見ているとこの錦峠の前後には峡路の山道が続いていることが分かる。旧道と新道、どんな風になっているのか興味が湧く。


整備されたR260号を東から進んでくると、紀州南島トンネルの手前に旧道の入り口がある。高架の国道をくぐってゆくと集落を外れて山道の旧道が始まる。分岐部にはこの先の棚橋トンネルは通れないとある。行かなきゃ分からないと先に進むが、国道とは思えないような峡路が続いている。


棚橋トンネル
新道を遙か左下に見下ろしながらどんどんと高度を上げて路は続いている。ずいぶんと走った感のある4km先にトンネルが現れた。隙間があるがクルマやバイクはお断りと意思表示されたフェンスに閉ざされて旧トンネルだ。噂には聞いていたが、ひどく細いトンネルで、国道の峠とは思えない規格だ。一度は通過してみたかった歴史ある棚橋トンネルであるが、2017年4月に閉鎖されてしまったようだ。

隧道道さんより
大正時代にこのルートが作られてこのトンネルは大正6年に完成。素掘りのトンネルであったのを、コンクリートで補強したり大型車が通れるように下部を補強したりとして、このような馬蹄形の細長い形になったようだ。幅員3mは5ナンバーのクルマですらストレスを感じながらの通過となり、10tトラックだと左右に30cmあるかないかの余裕しかない。昭和40年代に国道に格上げされて、この地域の大動脈であったはずだから、当時の離合の大変さは容易に想像される

紀勢南島トンネル
通り向けられなかった棚橋トンネルを引き返し、2年雨に開通した新道のトンネルを通過する。急カーブも無くなって高規格な道路とトンネルで山を貫いている。向こうの錦町まで、旧道だと30分以上かかっていたものが、現在ではわずか8分。しかも離合の心配も無い快適な路。これで人や車の流れもずいぶんと改善されたのだろう。

錦峠 旧R260号
山を抜けた先には、錦町までの残りの旧道部分が存在する。これもトンネルこそ無いものの、わずかにセンターラインがあるだけの狭いクネクネ道だった。訪ねてみたが、ここもやはり旧道はフェンスで覆われて通過を拒んでいた。

旧260号を望む
新道からは向こうの山肌を縫うように旧道が続いているのが見られる。棚橋トンネルもこの錦峠の旧道もこれまでの歴史を伝える文化遺産であるはずなのに、あっさりと閉鎖して廃道化してゆく。たまたまこの峠で地図を見ていたら、隣接する民宿の主が声をかけてくれた。小生が通過できない棚橋トンネルに向かうのではないかと心配してくれたようだ。しばし立ち話を頂き、なぜこれらの旧道が閉鎖されてしまうのか、答えを1つ聞くことが出来た。それは「不法投棄」だった。主曰く、漁師が多いこの地域では使えなくなった漁具や資材を山奥に捨てに来るのだという。なるほど、さもあり得ると納得した。

棚橋南島大橋(建通新聞より)
とにかく、この新道のおかげで地元の人たちの利便はかなりよくなったはずだ。しかしこれだけの道路整備には莫大な資金が投入されたのだろう。そして便利になった裏腹には、容易に地元を離れて便利な街に移り住んでしまう人たちを増やしているに違いない。不便で狭いながらも故郷で自己完結的に生活していたはずが、この路の完成で過疎に拍車をかけるという矛盾をかかえているのではないか。

大紀町 錦湾
できたばかりの新道を降りてくると「錦」の町並み、海が見えてくる。湾内に見える丸いものは「ハマチ」や「マグロ」のいけすだ。回遊するマグロなどのいけすは丸い形状が多い小さく見えるけどあれでも半径50mはあるそうだ。生憎の曇天、青い海を見ることができない。
さてお次は大杉谷に通じる秘境の千尋峠、そして万年工事で抜けることの出来なかった水呑峠に向かった。
東紀州2に続く。
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