小生の備忘録

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XT250 セロー 14 東山道1 神坂峠


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東山道(とうさんどう)

 バイク日帰りツーリングの「未開の地」で東山道「神坂峠」(みさか)は気になっていたところ、地図やWeb上で下調べをして資料を作成。晴れ間を待っていざ行かん。
 神坂峠は、中央高速道路の恵那山トンネル近くにあるパーキングエリアの名前で思い浮かぶ人も多いだろう。この峠は古代「東山道」で最も難所とされ、日本書記の「やまとたける」の東征や万葉集の防人歌などに登場する神代から続く歴史をもつ。大化の改新の頃から整備された東山道は都と地方を結ぶ政治・経済のルートとして作られた8ルートの一つで、後の江戸時代の中山道と概ね被っている。二つの街道で大きく違う部分がこの木曽山脈を越えるところで、東山道が中央高速道路に沿うように神坂峠で国境をこえて木曽山地の東側にルートをとるのに対して、後の中山道では馬籠、妻籠を経て木曽山地の西側を北上する。

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中津川SA

 残暑が予想される良い天気なので、朝6時に家を出発して中央高速道路を中津川ICまで一気走り。もう少しで終わっちゃう夏休み期間だから子供連れのマイカーが多い気がする。SAでおにぎりと飲み物を手に入れて、峠で食べよう。

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神坂峠(東山道)と大平街道

 これまで集めた情報では神坂峠は抜けることが出来ないと聞いているので、美濃、信濃いずれからもアプローチすることになりそう。まず中津川から東山道に入って神坂峠を目指す。お次は妻窹・馬籠を経て大平街道を東進し大平峠と越えて飯田へ。名古屋への帰路では、園原を経由して神坂峠を信濃側から登ってみる作戦。

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恵那山
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神坂峠(美濃側)

 中津川の市街をすぎて国道19号線を北に向かう。山麓を流れる落合川を上流に求めてゆけば自然と神坂峠に至る。国道から午前の太陽に照らされて恵那山が逆光の元、シルエットをみせる。

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 クアリゾート湯舟沢を横目に落合川の上流をめざす。やがて霧ヶ原というなだらかな台地を越え、古代東山道と交差しながら峠を越えてゆくこの道は林道大谷霧ヶ原線と呼ばれる。途中には比叡山延暦寺に由来する史跡と施設があって、道案内の良い目安になる。

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広済院遺跡

 奈良平安時代の東山道は往来の激しい幹線で、東に向かう旅人は最難関のこの神坂峠を越えなくてはならなかった。比叡山延暦寺を建てて天台宗の開祖となった最澄も東へ布教に行く際にこの東山道を越えていった。その体験から最澄は峠の急峻さや命を落とす旅人達のために、日本初の救護所となる無料宿泊所を神坂峠をはさんで美濃側、信濃側の2カ所に作った。その美濃側にあったとされる「広済院」の跡が残っている。

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延暦寺広済寮(特養)

 東山道の街道沿いにある延暦寺の名称が付いた特別養護老人ホーム「広済寮」。古から延暦寺関連の施設だったから、滋賀県比叡山延暦寺の飛び地になってるとか、いないとか。

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強清水(こわしみず)

 ところどころ、古代東山道の小径と交差しながら、林道はやがて集落を外れ、うっそうとした植林の中をクネクネと上がってゆく。
途中には古来から旅人を支えてきた水飲み場がある。水口からどうどうと流れる清水は冷たいことこの上なし、顔をざぶざぶ、メットも洗わせてもらう。水に冷やされたシールドがすぐに曇ってしまうくらい、キンキンに冷えている。

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水またぎ

 峠までもうすこしというちょっとした拓けた場所に「水またぎ」と記されていた。水の補給場所だったり、関所が置かれたりしたようだ。変わった名前。

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神坂峠(美濃側)

 麓のクアハウス湯舟沢から舗装林道を走ること15kmでついに頂上の神坂峠に到着。素晴らしい峠道がたくさん紹介されているWebサイト「旅と峠」でこの峠を知って以来、やっと来ることが出来た。登ってきた美濃側を望むと奥には加子母の山々、中津川の市街、そして手前には山肌を縫うように林道が見渡せる。名古屋はこの日も38度近くあったそうだが、標高1600m近いこの地は、まちがいなく涼しい。稜線を越えてゆく風はメッシュのウエアを気持ちよくぬけていく。

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神坂峠(信濃側)

 峠の東側はぐいっと展望が開けて気分爽快、天竜川をはさんで遠くには南アルプスや伊奈の山々が連なっている。丁度この正面あたりに小生の好きな遠山郷や地蔵峠などがあるはずだ。


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林道大原霧ヶ原線 美濃側ゲート

 峠から稜線の左右に道が続いている。林道の本線は右に折れ、爽快な景色を見せながら尾根づたいに高度を下げてゆく。途中には通行止めの案内あり、しかし道は続いていており「ひょっとして」なんて期待したが、本道の林道にあえなくゲートが現れて終点となる。左は隣接するスキー場へ続く道で関係者以外立ち入り禁止。

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萬岳荘

 行き止まりを折り返して北に向かい突き当たるのが山荘の萬岳荘。ここは恵那山トンネルの真上に御坂山の頂に近い場所で、ここから歩いて稜線に出ると富士見台高原、周囲の山並みが一望できる爽快な景色らしい。富士見台というからには「富士山」が見えるようにも思えるが、どうも違うらしい。歩いて行っていないので、すべて受け売り・・・。

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神坂峠

 切り通しになった林道の神坂峠からすこし歩けば、古道東山道の神坂峠。この日は美濃側から稜線近くで雲がわき上がり、速い流れで峠を乗り越してゆく。静かな峠、ここを1200年前から人が行き交ってきたのかと思うと不思議な気分、草の上に座ってちぎれ飛ぶ雲を眺めていた。

峠までは来ることができるが車両では信濃側に抜けることは出来ないことを確認。一旦同じ道を下って信濃側から再突入。

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神坂峠(信濃側)

 中津川の湯舟沢まで降りて、大平街道で飯田に出てぐるりと園原に迂回、神坂峠を信濃側から探求を開始。林道大原霧ヶ原線はゲートで信濃側で閉鎖されているけど、道路そのものは通じていることが予想され行けるところまで走ってみる。

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林道大原霧ヶ原線 信濃側ゲート

 東山道への取り付き分岐を通り過ぎて本谷川沿いに上流を目指す。林道の始点にはこの先通行止めの案内があるのを確認しつつ、さらに峠に向けて走ると数キロ先でゲートが登場。道路はつながっているのに通さないのはよほど災害が多いのか、峠を越える輩を制限したいのか、この林道が神坂峠を繋いでいることは知ることが出来た。
 どちらのゲートも「脇が甘い」。自転車はもちろん、セローでも、崩落などの災害で無ければ抜けられそうな雰囲気だ。でも「よい子は決して突破しないように」。

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 園原ICからすぐの所で東山道への分岐がある。古代歴史ブームが一部にはあるのか、それっぽい観光の幟が一杯並んでいる。隣接するスキー場もオフシーズンではあるが、「ナイトツアー」として環境庁が評する「星が最も美しく見える場所」で夜空の観察をするイベントをやってるようだ。そんなこんなで週末はマイカーでそれなりに賑わっていた。東山道・園原ビジターセンター はゝき木館は、東山道を紹介した施設で、さらっと学習するにはよい。



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広拯院(月見堂)

 山肌の集落を道はくねくね登ってゆき、美濃側の広済院に対峙する信濃側の広拯院に到着。本来の建物はとっくに無くなっていてその跡地に「月見堂」が建っている。ここに古代の旅人達が休息できる施設があったわけだ。

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暮白の滝 滝見台

 集落を外れると渓谷にそそりたつ滝見台があった。この下にある滝がよく見える場所、ここから願いを込めて「陶板」を投げるようで、どこかの観光地にありそうな。近年観光目的で作られたようだった。

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 古代東山道にそって、神坂峠をめざしてどんどん林道をのぼってゆく。神坂神社も通り越し園原川に沿ったグラベルを2kmほど進むとついに車両の通行を拒むゲートが出現。ここが信濃側の終点だった。男性一人がもくもくと古代東山道を登る姿を見かけたが、羨ましい気がした。小生がバイクで駆け上がってしまうところを、自分の足でてくてくと森林の中を進んでゆくのは格好いい。
 ゲートの前でプチ休憩をする。木漏れ日の林道にうつる相棒のセローは未舗装の林道や周囲の緑に溶け込んでいるようにも思えた。25周年記念のカモフラージュデザインが面白い。

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古代東山道

 林道からは古代東山道の小径が続く。すこしだけ下ってみたがゴロゴロした石でとても歩きにくい。不安定な登り降りではトレッキングポールがないと辛いねえ。小径は林の下草の中をうねって続いている。ここから峠まで3時間ほどかかるそうだが、大変だ〜。バイクの格好では無理。

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神坂神社

 底筒之男命、中筒之男命、上筒之男命の三柱の神を祭り、いつに時代からあるかは不詳。住吉様とも称される神社で、筑前国を本拠とする安曇族が当地に移住したともいわれる。住吉様は航海の神、漁業の神、海洋神であって、この険峻な峠に祭られたのはなぜだろう。山道を旅するのも、海原を航海するのも同じともいえるが。
 雲のうえに社殿が建ってるようなきつい石段の横には、斜めにそびえ立つ巨木がある。林の中で時折日差しがさす境内は、なるほど静かで神の領域と思える。石段の左手には奥に続く小径は古代の東山道で、神代の頃からここを人が難儀をして峠越えをしていたんだ。

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謎のコンクリート施設

 神坂神社の手前、園原川沿いに怪しいコンクリート施設を発見。パッと見では排気塔のようで、作られたのも最近では無さそう。トンネルの排気塔であれば恵那山トンネルとなるが、ここからトンネルまで随分と距離が離れている。どのような施設なのか調べたけど「謎」だった。

大平街道 木曽峠に続く



by akane8150 | 2018-08-28 20:50 | Motorcycles | Comments(6)
Commented by オネ at 2018-08-29 22:13 x
園原側こうなってたんですね。
大分前に迷い込んだ事あるんですが、時間的制約で途中で引き返してしまい気になってました。
Commented by bikebiyori at 2018-08-29 22:55
こんばんは!
いつも知らない土地を詳しく紹介してくれるので、読むのが楽しいです!
akaneさん、パワフルですね〜(^^)

それにしても毎日暑い!!
早く涼しくなってほしいですね…
Commented by akane8150 at 2018-08-30 11:13
>ネオさん
園原側はアプローチが容易、だから観光化されていて、小生の感想として峠の味わいは美濃側が勝っています。
美濃側からサイドカーでも行けないわけはないでしょうが、ハイカーのクルマの往来が多くって狭い幅員の離合が厳しいでしょうね(T^T)
Commented by akane8150 at 2018-08-30 11:19
>bikebiyoriさん
そうですか?? 読み物として興味を持って頂ければ嬉しいですね〜〜ありがとうございます。
人気ブログの方々のような「しゃれた文章」に接するたびに、いつも羨ましく小生もあんな文章が書けたらと忸怩しています。
記事の内容が旅行ガイドのようになりがちですが、「自分のための備忘録」として書いているので、ご容赦ください_(._.)_。
Commented by Rip at 2018-08-30 12:13 x
ツーリングルートに歴史街道が絡めば楽しみが増えると思いますが、東山道とはたいへんダイナミックな世界ですね。
1,000年以上前の話って、資料というよりほとんど想像の世界です。
どんな人が、どんな格好で、どんな目的でこういう道を通っていたのかな。

私も家の近くで、こんなところを探してツーリングしてみようと思います。
Commented by akane8150 at 2018-08-30 22:08
>Ripさん こんばんは
言われるとおり、見所をつないでツーリングすると目的がはっきりして面白いです 貴殿の地域で古代の街道と言えば、「南海道」でしょうか 機内から和歌山、四国へぬける幹線道路です しかし、この神坂峠のように1000年近くかわらず概要を残しているところは希だと思われます
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