小生の備忘録

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XT250 セロー 14 東山道2 木曽峠(大平峠) 大平宿 松川入


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林道大谷霧ヶ原線 美濃側

 神坂峠の美濃側を探索し、車両では峠を越せないことがわかった。ならば、反対側の信濃側へ行きましょう。清内路峠を越して反対側へいくだけじゃあ、つまらない。時間もあるので、途中の立ち寄りと大平街道をぐるっと回ってこよう。

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馬篭宿

 東山道を美濃側に降りてくると、そこは全国的にも有名な中山道の宿場町馬籠。馬籠峠からの稜線上に宿場は上から下に細長く広がっている。駐車場にはすでに観光バスもたくさん止まっていて、昨今の例に漏れず海外からの団体客がとても目立つ。石畳の両側にお土産物屋がならび、一般の家でも当時の屋号を表札かけて史蹟の保全と現在の生活とを共存させている。今日はスナップショットだけで馬籠の町は素通り。


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馬籠峠

 馬篭と妻籠をつなぐ旧中山道の峠。この先の妻籠側は高低差が大きいので小さなカーブがいくつもやってくる。石畳の旧街道(小径)はハイカーの人たちで賑わっていた。この峠は馬篭峠となっているが、これまでの峠を巡ってきた経験から、多くの場合、越える先の集落の名を峠の名にしているような気がしている。つまり峠には2つの名前があっても不思議ではない、そこに生活している人にはそれで問題無かったはずだ。地図上で馬篭峠と命名された背景がなんであったのか、想像すると面白い。

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大妻籠 旅籠つたむら屋

 馬篭峠を下り旧街道に入ってみると昔のままの「大妻籠」の集落。うだつの上がった立派な旅籠がならんでいて、いずれも江戸時代の建築で優に200年を越えている。さらに当時からずーっと旅籠として生業をしてきたというのだからすごいことだ。まわりは自然のみ、アメニティが優れているわけでもないだろうにどんな客層なのだろうと調べてみると、欧米の旅行客が多いようだ。「日本らしさ」を彼らはこの宿に見いだしているのであろう、「いろり」や「和布団」、「郷土料理」に「日本酒」、どれもクールに映るのかもしれない。

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大平街道(木曽側)

 妻籠から清内路峠にむけてR256を快走する。清内路トンネルの手前でいよいよ大平街道への分岐、これを左に折れて峠までの登りが始まる。ここから大平峠を抜けて飯田の町までおよそ30km、冬期間は雪で閉鎖はもちろんだが、災害で通行止めになることもしばしば。でも今日は大丈夫、通行止めの表示無し。

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 路線バスも走っていた(過去形)峠道はちゃんと整備されていて走りやすい。夏のこの時期は森林がうっそうとしていて、木々のトンネルを走るようなものだ。峠では良くみかける「第23号カーブ」なんていう標識が続いている。

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木曽見茶屋

 あともう少しで峠というところに峠の茶屋がある。この街道は本来素晴らしい展望が期待できる位置にあるが、夏場は深い樹木で遠望の景色を知ることが出来ない。しかし、唯一といっていいほど、この茶屋のあるカーブは周囲が開けていて明るく見通しが良い。「木曽見茶屋」と言うくらいだから、西の方角には真下に清内路街道、遠くには先ほどの馬篭峠や中津川など、南木曽が一望できる。

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 茶屋は板で閉ざされていて休業している風情、張り紙がしてあって「体調を崩し昨年で店じまい」との内容であった。ひとむかし?ふたむかし?の頃はここでそばとおでんを食べたのだが、最近はずっと店は閉まったままでとっくに廃業したんだと思っていた。
 後に調べてみると、昭和7年からこの店は続いていたのだが、2014年頃に廃業。しかし中津川の男性がこの自然に感銘し、周囲の応援もあって2016年に営業を再開したという記事まではたどり着いた。しかし張り紙の通り、2017年秋の営業をもって再び木曽見茶屋は静かな廃屋に戻ってしまった。わずか2年で廃業してしてしまったとは。。それほど交通の多い訳じゃ無いから「やり繰りの問題」、ひとり営業の「切り盛り」などなど大変であったろう。この大平街道がたどった歴史の経緯からすれば、この木曽見茶屋の消滅も残念だが自然の流れと言うべきだろう。

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木曽峠(大平峠)

 茶屋をすぎるとまもなく峠のトンネルが見えてくる。ここに来るたびに、その可笑しなトンネルの姿に注視してしまう。これをトンネルと呼んで良いのだろうか? まるで土に半分埋まった「土管」だ。おまけに天井部には窓が開いていて家屋の明かりとりのように日差しがはいってくる。トンネルの前後、峠部分はすべて切り通しになっている。特に伊那側のそれは深く掘られていて崩落の心配もありそうと、なれば切り通しの崩落対策と思えば、土管形状でも役に立つ。きっとそのあたりが答えだろう。

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 峠には明治時代の道標が立っていて雰囲気よろしい。標高1300mもあれば抜ける風も十分にすずしく、日陰に入っていれば名古屋の熱風地獄がうそのようだ。トンネルにつけられた表記は「木曽峠」、〇△隧道とか、□〇トンネルって書かれるのが普通だろうから、ちょっと変わっている。つまり作った人はこれを「トンネル」とする認識がなかったんじゃなかろうか?? 

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大平宿(おおだいら)

 峠を伊那側におりてくると開けた土地と集落が現れる。ふるびた建物が並ぶ姿はちょいと異様で、その昔にタイムスリップしたかのような錯覚すら感じる。そもそもこの大平街道は伊奈の町と妻窹宿を結ぶために江戸中期に飯田藩が作った街道だ。それまでの迂回する経路よりもこのおかげで随分と利便が良くなった。
 この開通により、木地師と商人たちがこの大平に入植したのが始まりで、やがて村となり宿場町となる。明治になって中央線が開通すると、伊奈の人たちがここを越えて木曽まで通うようになってますます交通は盛んになり、小学校や郵便局も開設されるほどの規模になった。
 しかし、飯田側にも電車が通るようになり、これまで難路だった清内路峠にも国道が走り、大平街道よりも便利に伊奈と木曽が繋がるようになり、交通や物流は減少の一歩となる。昭和35年には最盛期の半分、35戸になりついに昭和45年、住民の総意として集団移住を決定し、大平宿は約250年の歴史に幕を下ろした。

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大平宿(宿泊できる古民家)

 大平宿は旧街道に沿って南北に民家が連なっている。残っている古民家のほとんどが手入れ、整備されていて宿などの利用が可能だ。どれもが江戸時代に建てられて200年以上も経った民家で、いろりを囲んで自炊生活が出来るなんて面白い。ただし、小生には無理だ、夏場は日が落ちれば「虫」がいっぱい飛んできそうだし、ムカデさんやカマドウマさんなどは大の苦手。多分おちおち眠っていられないだろう。
 村の家屋たちは廃村後、リゾート開発で破壊される危機に面したが、有志(大平宿をのこす会)によってその維持が続けられた。平成29年、大平宿をのこす会は解散したが、引き続き飯田市が廃村を管理し、宿泊体験などの利用については民間に委託している。

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松川入(廃村)

 大平宿を抜けて飯田峠を越えればあとは飯田市街まで松川に沿った下りとなる。この松川の上流に入り込む林道を見つけたので、行けるだけ上がってみた。
 街道からは一変して、道は枯れ枝や落ち葉、落石の舗装林道となる。しばらくすると森林から抜け出して空がしっかりと見える広場に出る。無人であろうが、まだあまり傷んでいない木造家屋を発見。明治初期に炭焼き小屋や森林伐採など、山仕事のために開拓された「松川入」という集落で、農林事務所?が残っている。調べるとこの建物は昭和30年頃に建てられて、昭和の終わり頃まで森林整備などの作業員が出入りしていたようだ。例に漏れず、昭和41年に松川入の集落は集団移転して廃村となった。

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 さらに登って行くと左右の分岐に遭遇。右「松川入線 13kmで行き止まり」 左「小西川線5kmで行き止まり」「携帯電話も通じません」などど 心折れるような案内板。おまけに「熊に注意」の看板が至る所に見られるようになる。さて思案の結果、折角ここまで来たのだからと、奥の深い右手の道をえらんだ。
 ちなみに「神戸市御影高校山岳部遭難。。。」との案内もあったのは家に帰ったから気づいた。後学では、、

 昭和44年8月、神戸市立御影工業高校山岳部総勢7名(教諭2名、生徒5名)は中央アルプスを松川入から入山し西駒ヶ岳までを縦走するため、松川を遡った松川入の蜂の巣小屋に泊った。折りしも台風が接近し飯田地方は風雨強く、安平路山に降った豪雨により鉄砲水が発生。就寝中に小屋もろとも7名を山津波が襲った。延べ1千人余の消防団員らが下流を捜索したが、二人の遺体が発見されただけであった。

分岐を左にとって行くと慰霊碑があるとのこと、小生は立ち寄る事ができなかった。

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林道 松川入線 折り返し地点

 今日は日曜、工事関係者も山を下りているだろうと思うと、ますます山奥一人っきりの感が強い。行き止まりまで15kmを信じて走るが、展望のきかない林道を同じようなくねくねをくり返すのみで、先行きが不安になる。ましてや「熊に注意」の看板は心細い、徐々に路面に落ちている枝葉やがれきが増えてきて、交通量の少なさを実感する。ついには見通しのきかないカーブで、対向車に対してというよりも、「くまもん」に対して、情けないセローのクラクションを使い始める。
 心の中のもうひとりの自分が、「もういい、堪能したでしょ」とささやき始めた。先ほどの分岐から7.5km、行き止まりまでの半分を走行して勇気ある撤退、潔くUターンした。



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松川入

 引き返すとなれば、後は同じ道を戻るだけ。心のゆとりも出てきて林の切れたところから望める景色で一服。この山の向こうには飯田の市街があるはずだ。このような人気の無い山奥の方々で治水工事がなされている。土石流や鉄砲水の被害を防いでいる「日の目を見ない」これら工事が町の人たちの知らない所で行われているのだ。

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 リニア中央新幹線工事現場

 林道松川入線を降りきって大平街道にもどればひと安心、あとは飯田の市街に向けてどんどんと下る。途中にはこんな工事看板、「中央新幹線の工事をおこなっています。」そっか、飯田の町にリニアが通るんだ。2027年度の開通に向けて、どんなリニア飯田駅にするのか、現在企画中。 乗り換え案内で「名古屋〜飯田」を検索すると、1日2本のJR特急ワイドビュー伊那路を使っても、3時間半かかる利便の悪い環境だ。これがリニアになればなんと20分!! 普通に通勤で移動できる距離圏内となる。
通勤費用を度外視すると、名古屋が飯田の人たちの通勤圏内となり飯田で仕事を探さなくても良いようになるだろう。長い目で見て、これが飯田の人たちにとっていいことなのか、今の時点では分からないと小生は思う。

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飯田

 伊那地域の景色は東西を山脈で囲まれ、天竜川に向かって扇状地が広がるすばらしいもの。とりわけ、大平街道や松入林道などのお山の中を堪能した後は、ひろびろとした景色と市街地は安堵できる。無事に山を下りてこられたことに感謝。



by akane8150 | 2018-09-03 22:53 | Motorcycles | Comments(6)
Commented by オネ at 2018-09-04 22:29 x
峠の茶屋閉店してしまったのですね。
一度寄ってみたかったのですが残念です。
Commented by yukifukaa at 2018-09-05 07:34
楽しんでいますね~。軽いオフ車があるとツーリングの幅が広がりますね。一時、アプリリアのSVRっていう550のモタードを所有していましたが、燃費が悪すぎて遠出できずにすぐ手放してしまいました。
Commented by akane8150 at 2018-09-05 11:08
>ネオさん こんちは
茶屋をご存じだったんですね〜 茶屋の中からの景色が良かった覚えがあります。昭和のはじめからと聞いたので 木曽見茶屋の歴史は70年ほどあったはずです。
Commented by akane8150 at 2018-09-05 11:14
>yukifukaa さん こんちは
オフバイクがあれば、林道も気にせずに入り込めるのでツーリング先の選択肢が増えます。現在所有している5台のバイクを1台だけにしなさいといわれたら、RZにするか セローにするか 悩むところです。
アプリリアの550・・・ さぞかし「じゃじゃ馬」だったんじゃないですか? ワインディングや舗装林道などでは面白かったでしょうね〜〜
Commented by Rip at 2018-09-06 09:44 x
「勇気ある撤退」のくだり、面白いですね。
やっぱり、誰でも同じような気分になるんですね。
「熊に注意」の看板、気づかない方がよかったと思うことがありました。
Commented by akane8150 at 2018-09-06 17:35
>Ripさん こんちは
クマと最も遭遇する頻度が高いのが8月だそうです。この飯田のあたりの中央アルプス、南アルプスでは、普通に遭遇するようです。単独行じゃなければ不安も少ないでしょうが、何かあったらひとりじゃ何も出来ませんからねえ、怖いデス。
 9/14あたりから、3泊4日で能登半島を巡ってきます。見附島ちかくの幸寿司、珠洲市のキリコ祭りなど立ち寄れればと思ってます。
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by akane8150
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