さて、今日は今回の旅でもっとも楽しみな海沿いをぐるっと走るコース。前もって観光案内に目を通しておき、寄りたい場所は概ねピックアップしておいた。アバウトなタイムテーブルとその進み具合で、取りやめたりさらにより道したり。
総持寺祖院
宿泊の地は門前町であったが、字のごとくお寺さんがあるからそのように名前が付いたんだろう。さて、なるほど町の中心にはお寺さんがある。調べてみると火災で建物を失ってしまう明治時代まで、ここは曹洞宗の大本山であったというのだ。全焼を機会に大本山の機能は交通の便の良い横浜へ移ってしまったが、現在も曹洞宗の祖院として親しまれている。

道の駅 穴水
R249から県道を使って穴水まで。穴水は能登半島の真ん中に位置して、主要な道路が交差することもあり、ツーリングをしていると何度も通りかかることになる。国鉄時代の能登線を受け継いだ「のと鉄道」は現在はここが終着点で、この先の輪島や珠洲までの路線は廃止されてしまった。

中居湾ふれあいパーク ボラ待ちやぐら
能登半島を海沿いにぐるっと走るのはR249で、これに乗っかって東へ走る。能登には観光スポットの近くに駐車場が整備されていることが多い。この地方特有の漁獲方法、ボラ待ちやぐらを見てくる。回遊するボラの群れを上から見て、タイミングを見て金魚すくいよろしく網をすくい上げる。ボラくらいしか捕れなかったんだろうか、小生にはボラじゃあ嬉しくないわねえ。
朝の予報ではふったりやんだり、んっでホントに最近の天気予報はよく当たる。昼頃からは雨も上がるとの予報だ。これを信じよう。


石川県海洋漁業科学館
能登町に入り、石川県海洋漁業科学館なるものを見てきた。海沿いの陸揚げされた漁船が目印。定置網からイカ釣りなど、なかなか展示も面白くって時間を食ってしまった。イカの解剖写真を「下敷き」して配布していたが、これは大事に持ち帰らせて頂いた。

真脇
途中の真脇はそこそこ街だった。メインストリートを走っていると役場の広場でなにやら人が出てきている。Uターンして覗いてみると、「キリコ」を組み上げている最中だった。昼間は良いけど、灯りがともる夜は天気が大丈夫だろうか。和紙で張られた提灯の部分が心配だ。

能登九十九湾
リアス式海岸が美しいとあり期待していったが、はっきりした案内も見つからず、あやうく通り過ぎかけたので小さな入り江に入って写真を一枚。近くには遊覧船の発着場なのか、船が停泊していた。それにしても雨上がりの為なのか、流れ込んだ土砂で海水が濁ったままだ。

のとつづりさんより
能登九十九湾は期待外れと家に帰ってから調べたら、こんなきれいな場所であったことが判明。九十九湾の複雑な海岸線に沿って遊歩道の面白そうな飛び石が続いている。これをぴょんぴょん伝って行けば、海岸線を散歩ができる。とても透明感の強い海水と入り江の景色は感動モノらしい。勉強不足でこんな飛び石散策道があるなんて知らなかった。

見附島
さらに北上すると能登でも1,2位の知名度であろう見附島が現れた。手前は松林の海岸となって、開放感抜群な場所。近くに山があるわけでもない、ポツンと軍艦の舳先のように岩が切り立っているの不思議だ。硬くない珪藻土が主な構成らしいので、大昔からもよくも削られずに残ってきたなあ。

宝立町 幸ずし
今年の春にお仲間のRipさんがドラマティックな展開でたどり着いたお寿司屋さん。お昼時と重なったので、ご当地の能登丼をいただこうかとよってみた。まさに先客が店に入ろうとしていたところなのだが、なにやらおかしい。やり取りを聞いているとどうやら今日のお昼はやらないらしい。主が出てきて、「今日はお祭りで手が回りません、すいません」とのお答え。あちゃ〜、残念。

珠洲正院 キリコ
お昼が頂けなかったのでさっさと行程に戻る。次にやってきたのは珠洲市、ちょうど珠洲のキリコ祭りなので会場の正院町にやってきた。農協の広場には、夕方から活躍するであろうキリコがすでに鎮座していた。掛けられているビニールシートが、町の人たちの気持ちを表しているようだ。どうか無事にお祭りができたらいい。

正院キリコ祭り 奴振り すず観光ナビブログより
これも後学だけど、地元のサイトにはど派手な衣装で毛槍を振り回す写真が出てきた。そういえば、ここに来るまでにもこの出で立ちの住民をみかけたような。この日は初日、写真のような奴ぶりは2日目にみられるようだ。この地に宿泊予定だったら、じっくり見れただろう。
お昼を食べなきゃと探すと、「8番らーめん」の看板。そういえば、能登を走っていると気づくのは、コンビニや吉野屋などのファーストフードのお店が少ないことだ。その中で「8番らーめん」だけは目に付くのだ。さくっとラーメンを食べて昼食終了。なぜ8番らーめん?って調べたら、加賀市の国道8号線にあったお店が始まりと分かり、はげしく納得した。


粟津海岸
なんでここまで来てラーメンだったのか、よく分からないままさらに先に進む。振り返ってもこの時の天気がこの4日間で最もよかった。蒼い海と空が一直線の水平線を180度見せてくれる。あとちょっとで最北端の地という「粟津海岸」で記念写真。三脚を立てて準備するのがうっとうしいが、でもやらないと自分の映った写真が残せない。

金剛崎

ランプの宿
観光化されまくって興ざめの金剛崎に立ち寄る。ここは元々、その下にあるランプの宿への駐車場があった場所。昔は舗装もされていない広場があっただけだったのに、今は「パワースポット」と称して見晴台や奇岩巡りが有料でなされていた。
かみさんとバイクでここに宿泊した30年前が思い出された。当時から「ランプの宿」として有名で、楽しみに来たのだが。。。宿のどこもかしこも電気が付いていて、夜だけ部屋にランプが用意されるという趣向にはがっかりだった。料理は食べきれないほどの量と越前ガニが出てきた覚えがある。
食堂でたまたま隣り合わせた年配のご夫婦と小生達は意気投合、しこたま飲んで話し込んだ。しかし翌朝、朝食にはお二人が現れない。宿の人に聞いたら、「ご主人が深夜に急性アルコール中毒で近くの病院に運ばれちゃいました。」との事。一緒に呑んだ責任を感じつつ、宿を出て病院に向かった。病棟では点滴でずいぶんと回復はされたようで、同日の夕方には退院できるらしかった。容態を聞いて安心した。
おまけの話、どうやらご夫婦ではなかったようで女性の方は関西方面まで一人で先に帰ったそう。今となれば懐かしい思い出だ。

道の駅 狼煙(のろし)



禄剛埼灯台
1時過ぎに能登最先端の禄剛埼に到着。道の駅狼煙にバイクをとめて、灯台までの激坂を登ってみた。下腿に乳酸がしこたま貯まった頃に灯台に着いた。真っ青な青空に白い灯台が映えて気分よし。


揚げ浜塩田
あとは海岸線を一直線、輪島まで走るだけ。道路沿いには塩田が散在、道の駅にもなっている揚げ浜塩田に立ち寄る。25mプールくらいの真っ平らな砂地に海水をまいて乾燥させ、その砂から濃縮した塩水を取り出す方法。海から桶で何度も汲んでくるのは重労働だ。


垂水の滝
塩田を過ぎるとやがて大きな滝が見えてくる、垂水の滝。旧国道トンネルを乗り越えるように海に直接流れ込む。水しぶきが冷たくめちゃ気持ちよかった。

旧逢坂トンネル
トンネルの反対側の出たところに、曽々木ポケットパークという小さなパーキングがあってその先には旧道のトンネルが口を開けている。


手堀の古道
さらにそのトンネルの海沿いには、手掘りの人道トンネルが続いている。古代の旅人になった気分で奥に進むと真っ暗なトンネルが現れた。


せっぷんとんねる
先が真っ暗で出口が見えない。高さはヒトが立ったまま歩けるくらい、これを掘るにはどれだけ時間がかかったんだろう。昔に映画のワンシーンに使われ、この中で「せっぷん」をしたそうな。これにちなんで「せっぷんとんねる」と呼ばれる。いいねえ、キスといわずにせっぷんですからね、レトロだ。

福が穴
せっぷんとんねるの入り口は洞にあって、旧国道のトンネルが開窓している。この奥には、「岩窟不動」が鎮座し人々の願いを叶えるため「気」を解き放っているパワースポットらしい。こんな狭くって暗いところに一人では無理なので、当然入りはしなかった。




本家 上時国家
祖先は、800年前に能登に流された「大納言・平時忠 ・・・平清盛の義弟」と伝えられ、子の「時国」を初代として現在で25代目。江戸初期から300石の豪農として天領大庄屋を務め、江戸後期に21代当主が現在の巨大で格式高い屋敷を28年かけて建造した。現存する近世木造民家では最大級である。
大庄屋屋敷として公用部分と私用部分を分割した構造で、公用部分の中心に大納言格式を示す「縁金折上格天井」の「大納言の間(別名 御前の間)」を配している。広間の襖には、家紋でもある平家定紋の「丸に揚羽蝶」を金箔で描いて連ねている。 座敷の境上部には両面彫りの欄間を飾り、御前の間の欄間は蜃気楼を描いた珍しいものである。
広い空間を占める土間は、この巨大な建物を支える柱・梁組と、萱ぶき大屋根の内側構造を見ることができる。総欅造り唐破風の正面玄関も民家では珍しい。(ホームページより)
まあ、兎にも角にも立派な民家だ。800年の祖先までさかのぼる事ができるなんてのもすごい。お湯を沸かさず、湯船にお湯を入れて浸かるのが貴族式、湯船に肌が触れないように布を敷いたのが「風呂敷」の始まりとは、勉強になった。

能登の北側の海岸線は平らなところがほとんど無くって、山がそのまま海に落ち込んでいる。その山腹に縫い付けられたように道が続いている。ずーっとこんな感じ。

白米千枚田
道の駅があるのでそれとわかるけど、国道からは見えないので通り過ぎてしまいそうな千枚田。畳半畳くらいしなないようなちっちゃな田んぼまで、とことん平らな所を作り出して水田に変えている。平坦な場所が見つからないこの地では、ここまで手を尽くしても稲作をしなくてはならなかった。人の血と汗の結晶だろう。
今は観光資源として維持され、オーナー制度で年間2万円でマイ田んぼを持つことができるそうだ。幸運な年間200組のオーナーは謝礼には10kgのお米とオーナーの標識を立ててもらえる。



大沢 間垣の里
輪島までやってきたけど、まだ時間があったので輪島を通り越して10km先の大沢まで足を伸ばした。木塀で防護した家屋は能登を旅するとよく見かけたが、背の高い竹がびっしりと貼られている光景は不思議なモノだった。間垣とは、長さ約3メートルのニガ竹をびっしりと隙間なく並べてつくった垣根のことで日本海から吹き付ける冬の風から家屋を守るためのもの。冬は暖かく、夏は陽射しを遮るためとても涼しいようで厳しい自然と共存してきた能登の人たちの知恵だ。

輪島市街
さて日があるうちに輪島に戻ってこれた。メインの通りは電柱も地下に埋められ、黒壁の建物と相まってすっきりとした景観。ぶらぶら散策するにはいいだろう。

ぱしふぃっくびーなす
輪島港に優雅な白い客船が着岸していたので寄ってみた。日本郵船のぱしふぃっくびーなすだった。桟橋にはテントが張られ、歓迎ムードが伝わってくる。宿の主に聞くことが出来たが、誘致の成果があってこの船は年間4,5回は輪島に寄るそうだ。この日も朝9時に着岸、乗客は輪島の朝市や輪島塗会館などを楽しんで夕方5時過ぎに離岸、出港のながーい汽笛が宿まで聞こえた。


輪島工房長屋
家族へのおみやげに輪島塗のお茶碗を考えていたので、お店が開いている内に立ち寄ってみた。輪島工房長屋は出店も多くって見比べる事ができて勉強になる。ちょっと広口で汁ものにも使えそうな茶碗、4色のバリエーションがあって5人家族の我が家には色とりどりで面白い。4色は家族、小生は自分の気に入った色で。



新橋旅館
週末の輪島は一人旅で予約を取ることが大変だった。当初問い合わせてみた温泉ホテルは、素泊まりならOKとのことだったが、これでは寂しい。一人旅で普通にオンラインで押さえることが出来たのがこの宿だった。朝市の会場にも歩いて行ける利便と口コミがよかったから選んでみた。築60年ほどの古い旅館だそうだが、和紙でインテリアが統一されていて海外からの観光客にも評判のようだった。夕飯も部屋出しのお料理で宿代と照らしても十分に満足できるものだった。
宿の若主人は輪島の観光に大きく関わっているようで、後述する御陣乗太鼓や前日泊まった門前のホテル、今日見た客船の誘致などいろいろとお話を聞くことが出来た。

銭湯 鳳来湯
市街地にある旅館だからお風呂はそれなり、ならばと近くの銭湯に下駄をならして行ってみた。番台形式でお代は440円、脱衣場、湯船の作りは名古屋の銭湯とあまりかわらない。中庭のような空間が名古屋式の銭湯にはあるのだが、ここは脱衣場と浴室が扉1つでつながっていた。お湯のキレイさはまあ及第点か。

御陣乗太鼓
宿の人に誘われ自家用車に乗せてもらって観光協会の主催するイベントを見に行った。
天正4年(西暦1576年)越後の上杉謙信は、能登の名城であった七尾城を攻略して「霜は軍営に満ちて 秋気清し 越山を併せたり 能州の景」と詠じ、その余勢をかって奥能登平定に駒を進めた。 現在の珠洲市三崎町に上陸した上杉勢は、各地を平定し天正5年、破竹の勢いで名舟村へ押し寄せてきた。武器らしいものがない村人達は、鍬や鎌まで持ち出して上杉勢を迎撃する準備を進めたが、あまりにも無力であることは明白であった。しかし郷土防衛の一念に燃え立った村人達は、村の知恵者といわれる古老の指図に従い、樹の皮で仮面を作り、海藻を頭髪とし、太鼓を打ち鳴らしながら寝静まる上杉勢に夜襲をかけた。上杉勢は思いもよらぬ陣太鼓と奇怪きわまる怪物の夜襲に驚愕し、戦わずして退散したと伝えられている。
村人達は名舟沖にある舳倉島の奥津姫神の御神徳によるものとし、毎年奥津姫神社の大祭(名舟大祭・7月31日夜から8月1日)に仮面をつけて太鼓を打ち鳴らしながら神輿渡御の先駆をつとめ、氏神への感謝を捧げる習わしとなって現在に至っている。(ホームページより)
何の予備知識もなく、15分ほどの太鼓のパフォーマンスに接したのだが、その迫力に圧倒された。名舟町は70戸ほどの小さな漁村、その出身の男子にしかこの太鼓をたたくことが出来ない。町内には6名ほどの編成で3組が交代で演技に当たっている聞く。この時期は連日、輪島で夕刻からふた幕公演し、さらに国内はもちろん海外にまで公演にいくこともあるようだ。本業もありながら、地元の伝承に力を注いでいる姿が頼もしかった。
能登一周 3 に続く

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