
さてさて、年頃の娘ふたりを抱えた我が家が、フルメンバーで家族旅行に行けるのもいつまでだろう。この年末年始も日時を示し合わせて家族で出かけた。行く先は山形で銀山温泉と蔵王温泉の2泊3日の行程だ。飛行機の出る名古屋空港までは、MKタクシーのジャンボをお願いしてあって朝8時にお迎えに来てくれた。7人乗りのアルファードではあるが、運転手さんを含めた6名にスーツケースなどの荷物を載せると一杯一杯。

FDA381便 名古屋発 山形行 9時40分発
自宅からクルマで30分という近さや混み具合、お手軽さなどで県営名古屋空港(小牧空港)は好きな飛行場。ここをハブ空港としてフジドリームエアライン(FDA)は国内の地方空港をつながっている。早割を使えば大人1万円とすこし、山形まで1時間で行けることを思えば、リーズナブルな運賃。


JA06FJパープル6号機
乗り込んだのはムラサキの鮮やかな塗色の6号機、北九州空港のPRに松本零士がプロモーションした機体。現在FDAは16号機までそろえる大所帯となってきたが、この6号機は2011年に就航を開始したそれなりの古参。それでも機内は清潔感があって、外装も手が入っていて綺麗。色あせた塗色で気の毒だった韓国のティーウエイ航空(昨年のGWで搭乗)と比べものにならない。

名古屋〜山形 空路
北風にむかって、名古屋空港を離陸。ほぼ快晴なので景色が素晴らしい。高度を上げつつ、美濃加茂のあたりで右に軽くバンク。御嵩や八百津あたりのゴルフ場を真下に見ているとどーんと御嶽山の雄姿が見えてくる。
御嶽山と中央アルプスと南アルプス、富士山
雪をかぶった御嶽山は名古屋からもよく見える美しい山。それを真下に見下ろすのもすばらしい。御岳の向こうには駒ヶ岳などの中央アルプスが左右に伸びて、その先には仙丈ヶ岳など3000m級の南アルプス連峰、そしてぽかんと富士山の頂が見えている。お山の好きな小生には最高の景色、写真を一杯撮ってしまった。この先は乗鞍岳を同様に見下ろして、諏訪湖や松本、長野の町を右手にみながら北上。その頃には、機内サービスでリンゴジュースとケーキを頂く。

蔵王連峰
飛行時間は1時間とちょっと、右手の景色に猪苗代湖が見えてくる頃にはもう着陸態勢に入って高度を下げはじめる。ゲレンデをいくつか抱えた蔵王連峰が見えてきた。最高峰は右奥の屏風岳で1825mのお山だ。2日目にはここの蔵王温泉に宿泊予定。雪が多ければ、スキーのメッカともいえる蔵王スキー場を楽しむつもりであったが、ごらんのようにゲレンデに雪が張り付いている程度。だから滑ることは諦めてウエアも用意しなかった。

1日目行程
山形空港に11時前に到着。空港ビル内でレンタカーを借りていざ出発。積雪や凍結があったら気を遣うのだけど、雪など全くナシで拍子抜けだった。今日の観光メインは「立石寺 山寺」、空港からは15kmほどで到着。


立石寺(りっしゃくじ) 山寺
山形の観光地を勉強してみると、この山寺が堂々の1位。雪の山寺も美しいと聞いていたので、家族全員用の靴底スパイクも準備してやってきた。ふもとから奥の院までは1時間くらいかかるらしい。お袋はまだ足腰元気な頃に登ったことがあるようで、今回はふもとの食事処で待機させた。
山寺は平安時代の円仁(慈覚大師)が開いた天台宗のお寺。後学によると、遣唐使の一員として唐に渡り10年間、彼の地で密教を習得し日本に広めた高僧で、松島の瑞巌寺や浅草の浅草寺も開祖と言われる。

根本中堂
山寺の本堂たる根本中堂から登りはじめる。これは室町時代に再建された重要文化財。「ブナ材」でつくられた木造建築として日本最古のものだそうな。「ブナ材」は曲げやすいので家具などに利用されてきたが、現在では非常に枯渇して貴重な木材となっている。不滅の法灯が灯っているのもこのお堂の中、西暦788年に仏像の面前に灯明をかざして以来、1200年間ずっと消えることなく輝き続けてきたと言われる。朝夕の2回、なたね油をつぎ足して灯火を守ってきたお勤めは、「サボれば油が枯れて消えてしまう→油断」の語源になった。


山門
さていよいよ登りにかかる部分に鎌倉時代につくられた山門が控えている。この先は有料で、300円なり。終点の奥の院までは石段で800段。「階段を上がると煩悩も消滅する」なんて有り難いお言葉。煩悩だらけの小生には、とっても御利益がありそう。

せみ塚
屏風のように大きな一枚岩が迫ってくるあたりが「せみ塚」と言われ、「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」と奥の細道の旅で芭蕉がこの地で読んだ有名な俳句がいわれ。周囲は木々で覆われてセミの合唱は、岩で反射してさぞかし盛大なものだろう。

仁王門
岩と木々に囲まれた自然豊かな石段を上がってゆくと、奥の院まで半分くらいのところに仁王門が立ちはだかる。この先は幾つかの寺院が見えてきて、いよいよ境内にたどり着いた感あり。


山内支院といって、仁王門のさきには性相院・金乗院・中性院・華蔵院の4つの院が点在する。いずれも急な斜面に佇み、これまた急な石段でつないでいる。ベンチなどのひと息付ける休憩場所が少ないので、日頃運動不足の人には辛い。日陰では溶けた雪が凍っているので、手すりを利用しないと恐ろしい。しかし例年よりも全然雪は少ないようなので、用意したスパイクは出番なしだった。

奥の院
ふもとから約30分で最深部の奥の院に到着。奥の院は開山・円仁が、中国で修行中に持ち歩いた釈迦如来と多宝如来を本尊とする。円仁は相当な覚悟と勇気を持って、10年ほど中国各地を渡り歩いたことを後学で知る。渡来するだけでも命がけの奈良時代に日本の僧侶がただ一人で彼の地で遊学し、自力で帰国したのはすごいこと。

三重小塔
重要文化財「三重小塔」って案内があるので脇道に入ってみるが「見当たらない」。あれ?って振り向いたら岩肌の洞に看板と小さな塔が。。。案内には「模型ではありません」なんて但し書きまで。制作されたのは室町時代、日本で一番ちいさな塔だそうな。

開山堂
立石寺を開いた円仁のお堂で、大師の木造の尊像が安置されており、朝夕、食飯と香を供えている。向かって左、岩の上の赤い小さな堂は、写経を納める納経堂で、山内で最も古い建物である。山寺の画像と言えば、このカットが代表的だろうな。険しい岩の上に立つ納経堂の朱の色と空の青さが美しい。



五大堂
開山堂をさらに奥に進むと、ちょうど京都の清水寺を思い起こすような舞台形式の社があり、この山寺登山のハイライトだろう。立石寺からの最高の展望、眼下の立谷川沿いに広がる集落、周囲の山々を180度以上の広角で眺める事が出来る。それにしても千社札と心ない落書きであふれているのが悲しい。

四寸道
この参道は、昔からの修行者の道。一番せまいところは約14センチの四寸道で、開山・慈覚大師の足跡をふんで私たちの先祖も子孫も登るところから、親子道とも子孫道ともいわれる。年の瀬の頃だけど観光客はそれなり、特に中国とタイ、ベトナムからの観光客が多い。どうやら、山形空港と中国やタイと直通便が開設されたのも理由らしい。


日枝神社
ついに降りてきました、往復で1時間20分。ふもとの神社の鳥居の先には、頂上の五大堂が小さく見えている。小生は痛めた右膝が心配されたが、なんともなし。かみさんは息が切れるだの、膝裏が痛いだの、いろいろとこぼしている。これから夫婦二人で出歩くことが多くなるだろうが、お互い足腰はしっかりしていないと面倒が困るなあ。


力こんにゃく
山寺名物力こんにゃくとあれば、食べないわけにはいかない。おばちゃんが真ん中に穴の開いたシャモジのような道具で鍋の中のこんにゃく玉に箸を刺してくれる。3つ刺してからしを付ければできあがり。ほかほかで不味いはずはないけど、想像より弾力無くって、味も染みこんでないお味だった。期待しずぎ??

尾花沢
かり出していたのは、日産セレナ、4WDのスタッドレス仕様。家族5人と荷物でほぼ満載。山寺を出てからは再び北上し、山形空港を通り過ぎR13を尾花沢までやってきた。これを右折し太平洋側に向かって山に入ってゆく。銀山温泉の案内が出てきて、わくわくだ。

銀山温泉
14時に山寺を出発、15時半に銀山温泉に到着。クルマではお宿の近くには行けないので、温泉街の手前にある駐車場にとめる。荷物は係の人が3輪バイクで運んでくれる。さすがに雪が残っていて銀山温泉らしい景色。

2017年10月
2017年10月に東北をサイドカーで7泊8日かけて周遊した。その時にも立ち寄り湯としてこの銀山温泉にも来ていたのだが、この地でクラッチが切れなくなる重大なトラブルが発生。せっかくきたのに、お風呂も入らず慌てて宿泊先の鳴子温泉まで引き返した苦い思い出があった。今回の旅行に銀山温泉を選んだのも、多分にそのリベンジがあったはず。

銀山川の両岸に木造のお宿がずらりと並ぶ姿は、千と千尋の神隠しを連想するような風情がある。ここを散策するために海外からも大勢の人たちが来ていてびっくり。温泉街と言っても奥行き200mもないからこじんまりとした規模。クルマがまったく入ってこないのは、だらだら散歩するには良い環境。

能登屋旅館と旅館永澤平八
温泉街の奥にいっそう雰囲気のあるお宿が2軒続く。今日泊まる能登屋旅館と手前の旅館永澤平八は一つの建物のようにもみえる。いずれも最上部には望楼があって大正モダンのムードにあふれている。


能登屋旅館
前から泊まってみたかったお宿がこの能登屋旅館。家族で平日にはこれないので、混雑する年末年始のハイシーズン狙い。半年前以上に電話してなんとか部屋を押さえることが出来たので、それに合わせて旅行の日程も決まったようなもの。2階の川沿いの和洋室がとれたので5人でもゆったりとすることができた。






4階 談話室 望楼
旅館能登屋の建物は国の登録文化財、木造4階建てのつくりは大正ロマンにあふれている。外観で目立つ張り出し部分は、各階にある談話室。特に4階は円卓のある小部屋になっていて、その天井が吹き抜けで望楼となっている。外観でも屋根に突き出たこの望楼が能登屋旅館の特徴。現在の法律では木造でこのような高層建築はゆるされていない。耐震工事や近代的な補修を繰り返して、今も大正時代の建築物として現役でがんばっている。

お食事まではまだ時間があるから、まずは温泉に浸かる。新館にある内風呂はこざっぱりして今風の造。泉質はナトリウム―塩化物・硫酸塩温泉 PH6.6 ほんわりと硫化水素臭があって、ちょっと塩っぱい。源泉の温度は60度以上だから、熱めのお湯。



洞窟風呂
地下にある元湯の洞窟風呂。この源泉が開設当時から大事にされてきた元湯で、いまは入り口にかけた札を使っての貸し切り風呂になっている。さすが元湯だけあって、熱いし湯量も豊富。



お待ちかねの夕食、風呂上がりの冷えた生ビールは最高に美味しいね。見知らぬ地域の食材に出会うことも旅の楽しみ。献立にあった「ぶなかのか」は女中さんに教えてもらってなるほどど、香りのよいキノコの仲間で炒り煮にするこの地域のおふくろの味のようだ。コイの甘露煮も海から離れた山村の大事なタンパク源だろう。日本酒のアテには最高に旨い。惜しむらくは小骨が多いことか。

女将とおふくろ
食事の場には、女将自ら挨拶に。小生の一廻り年長になろうか、とても落ち着いてお話し上手な方。
以下は直接聞いたお話。
この銀山は室町時代より銀山として開拓され、その後江戸時代に石川県から5名の鉱山掘り職人達がこの地で採掘に関わり、銀山として栄えた。同時期に温泉も発見され、温泉地として宿も広がった。やがてそのうちの一人「木戸佐左ェ門」が温泉宿を切り盛りするようになり、それが今の能登屋旅館の始まりであった。能登屋の由来は、出身の能登を使ったわけだ。川沿いに多くの宿が並んだが、大正2年に大洪水となりほとんどの宿が流されてしまう。そしてその災害以降に建てられたのが大正ロマンあふれた今の建物達なわけだ。

お腹がふくれたら、夜の温泉街に散歩へ。寒い地域だけあって、この上にピンクのおっきなグランドコートを用意してくれている。普通なら宿の下駄になるだろうが、この時期の東北だと「長靴」。浴衣に羽織り、そしてピンクのグランドコートと長靴というかなり変わった着こなし。

明かりの灯った銀山温泉街は、雑誌などで憧れた「The 銀山温泉」の世界。こんな時間になっても、宿泊しないであろう海外の旅行者達がスマホ片手にやってきていた。やはり温泉街のクライマックスは能登屋旅館周辺の景色、高層の木造建築が明かりに照らされて台湾台北の「九份」の夜景を思い出す。

オーベルジュ クラノバ
気になったお宿。1階のレストランはモダン和風なレストラン、夜は間接照明も雰囲気よさげ。2年前に出来たばかり、イタリア料理のレストランで宿泊も出来るみたい。ただしお風呂はお隣の古山閣をお借りしてすます。日本料理の苦手な人やリピーターにはいいかも。


酒茶房 クリエ
散歩の先で一杯やりましょうということで、能登屋旅館の面前にある「酒茶房 クリエ」に突入。娘達は「焼きマシュマロココア」なんてものを注文し、家内はいつでもどこでもの「ビール」をグビグビ。小生達の泊まっている部屋が正面に丸見えなので、留守番しているばあさんに電話して窓越しに手を振る。



滓酒(おりざけ)
日本酒で清酒を造る過程で絞りかすの部分を集めたものが滓酒。メニューで見つけて試しに飲んでみる。加熱もしていない酵母菌も酵素も生きているなまなまのお酒。少し酸っぱさも感じながら、甘酒のようなまろやかさもあり複雑なお味。これまた珍しいものを頂けた。瓶詰めでも手に入るようだけど、発行による炭酸が充満していて口を開けるときには、「シャンパン」のように栓が吹き飛ぶようだ。


夜に入っても気温はそれほどには下がらない。やはりここも暖冬のよう。食後の温泉街ぶらぶらも完了。さて、もう一度お風呂に入ってお布団に入りましょう。明日は天童市や山形市内を見ながら、蔵王に登って蔵王温泉で宿泊予定。
2020年 年末年始2/2 に続く
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