メルセデス−AMG GT 2016
手足のようにとはいかないまでも、かなり慣れてきた感のあるAMG GT。しかしブレーキを一杯ふんだらどうなるのとか、未知の速度領域での動きはどうなのか、などもっと知りたくなってくる。そうなれば、遠慮せず走れるサーキットに持ち込むのが手っ取り早い。お気楽に参加できる、かつ、体験走行だけでは終わらない「走行会」を探してみた。
ヒットしたのは、富士スピードウエイの主催する冬のイベント「TRY スポーツ走行会」。鈴鹿にしても富士にしても、それぞれのライセンスがあれば愛車で走ることができるが、このイベントはライセンスを持っていなくても、この日限定で走らせてあげようという「お手軽サービスイベント」だ。

かなり直前ではあったが、参加を承諾される。当日は朝10時にサーキットで受付開始。名古屋からここまで、250km、3時間以上かかるので、小生は前日から近くのビジネスホテルに前乗りして余裕を持って参加。すでにケイマンやボクスター、M3などなど参加者と思しきクルマたちがやってきていた。
ブリーフィングとライセンス講習会
11時から約1時間半の講習を受ける。TRY走行会だけであれば短くて済むが、合わせて小生は走行ライセンスも取得するので「フル」の講義。昨年の秋に走った「CUB CUP 日本GP」の際にもプチ講習会があったので、サクッと耳学。案内と走行中の指示に使われる「トランシーバー」とタイム計測用の「ポンダー」を受け取って終了。TRY走行会参加費用17,700円に新規ライセンス取得費用(決して少額じゃない)をお支払い。これで2輪も含め、走りたいときにこればサーキット走行(ex, 30分6,700円)ができるようになった。

レストランOrizuru
午後からの走行会まではたっぷり時間があるので、「Orizuru」でお昼をとる。ここからの富士山の眺めは抜群だけど、、、この日は北風が強くって山頂付近は雲に隠れている。このレストランはあまり美味しくないし高いので今ひとつではあるが、ここしか食べるとこないので仕方なし。これからは何か持参してもいいかもね。

ショートサーキット
ライセンスはショートサーキット限定とレーシングコースもOKの2種類が用意されている。もちろんショート専用のライセンスは走行料もライセンス料もお安くなっている。ショートサーキットは全長900m未満、直線部分が300mほど。知多の美浜サーキットや幸田サーキットも同様なショートサーキットだけど、こちらの方が「テクニカル」ではない分、ストレートが長い感じ。トヨタの影響を受けている富士サーキットだから、先導クルマも高価なレクサスRC Fを使っている。他にも数台のRC Fや救護車としてRX450hなどが用意されている。

富士を覆っていた雲が切れ始め、真っ白なお山が見えてきた。午後3時からの走行枠までまだ余裕、広大な駐車場にクルマを置いて撮影会。納車で仙台から帰ってきたときも、天候に恵まれ背景に富士山を入れた写真を撮った覚えがあり、我が家のAMG GTは富士にご縁があるのかも。



グランドスタンド前 ストレート
いよいよお楽しみ、サーキット走行が15時から開始。まずは、先導車のRC Fにくっついて1周、ピットレーンに入ってから先導が外れてフリー走行となった。約30分が予定されているとの事、小生もルール通りヘルメットとグラブ着用で最後尾から走り始めた。富士のストレートは約1.5km、世界的に見てもながーいストレート。
昨年は最高速60kmのカブレースで直線の長さを実感した。ハンドルに伏せながらアクセル一杯にひねっても、いつまで経っても第一コーナーがやってこないのだ。原付バイクでは、だだっ広いグランドスタンド前、どこを走ったらいいいのか戸惑うほど。

TGRコーナー
いわゆる第一コーナーで、最高速の状態から一気に減速して右にハンドルを切る。30分の走行で11周しているが、これこそ自分のクルマの挙動を知るには最高の状況で、最高速からブレーキを踏んだらどうなるのか、どんな姿勢変化がでるのか、貴重な体験。第一コーナーの別名が、TGRコーナーって、何?って思ったが、なるほど広告がらみのお話で、TOYOTA GAZOO RACING の略。最近のネーミングコマーシャルの一環だ。

TGRコーナーから次のコカコーラコーナーまでは、思いのほか下りでスピードが出るところ。マニュアルモードのパドルを使ってアップダウンをするけど、ここのフル加速はかなり気分良い。シフトアップに関しては、マニュアルモードでも自動で上がってゆくので非常に楽ちん。小気味よいシフトアップ音はF1みたい、またアクセルオフ時のミスファイア音は、バリバリとWRCのラリー車を彷彿とさせる。

100R
小生は、最も走り甲斐があるコーナーに感じた100R。気合いが無ければアクセル踏めないし、踏みすぎたらリアがどーって流れそう。
レーシングドライバーの山野哲也氏がこのコーナーを次のように書いている。
「日本のサーキットの中でもっともGのかかるコーナーだ。速度は高いけど、バンクがついてるからグリップはするので、クルマによっては全開のままクリアすることもできる。ここはプロでも大きなクラッシュをする可能性のある所で、それだけテクニックが求められるコーナーなんだ。速度もグリップも高いんだけど、それが抜けた時の反動が大きいので注意が必要だよ。あと、コーナリングスピードが高いぶん、度胸も求められる。慣れるまではなるべくインベタ気味に走って、アウト側に余裕をもたせてクリアした方がいいかもね。出口はクルマ1台分あけておいた方が無難。ギヤは3速、もしくは4速だ。あと、このコーナーでクルマのセッティングを合わせるエンジニアは多いよ。ここで前後バランスがきっちり決まってないと、速く走れない場合がかなりあるんだ。」
なんて、素人の小生も同感。


アドバンコーナー
難しい100Rを越えた先には、タイトなヘアピンコーナーが待っている。アウトのラインで一杯にブレーキングして一気に左にターン、スピンしないようにじっくりと、かつ がっつりと加速したいところ。
車内の動画はいつものように、セッティングして撮影を行った。リアストラットの補強バーがシート後ろにあるので、これにGoproをぴったし装着。転がらないようにトランクの荷物も車外に出してはみたが、車検証と分厚い取説を抜き忘れ、、、サーキット走行時には分厚い取説書がトランク内で暴れる音までしっかり拾ってしまった。これは失敗。また、現地で親しくなったポルシェ乗りの方から、サーキット走行の動画をありがたくお裾分けいただいた。同伴者が撮ったようだが、小生の写っている部分があったので、ラッキー。

Supraコーナー
メインスタンドから見れば、奥のストレート?をこえた先のダンロップコーナーも侵入では大きく減速するコーナー。突っ込みがどこまで出来るで、先の登りの複合コーナーでのスピードの乗りが違ってくる。最終コーナーの手前のSupraコーナーの出口では、ついついアクセルを開けがちになるのだけど、リアが流れ出して、ETS(エレクトロニック・トラクション・コントロール)やESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)が入ってしまうことがしばしば。「待てない」オトコだなあ。

パナソニックコーナー
最終コーナーのパナソニックコーナー。4馬力の原付カブの走行ラインはインベタ、476馬力のAMG GTは違うラインのはずだけど、カブの走行ラインで走ってしまいスピードが乗らない。後学で分かった事には、ここはゼブラゾーンにはらみながら、アウトから攻めるのがベストラインらしい。コーナー出口の左ゼブラゾーンが気になってくるけど、アクセルを早く開けてストレートのスピードにつなげたいところ。

アクセル踏み込めば200kmからの加速も途切れなく、1.5kmの直線はあっという間に過ぎて、第1コーナーのTGRコーナーが迫ってくる。メルセデスなどの欧州車は自主規制の250kmリミットがあると思っていたが、AMG GTはするするとスピードを上げて270km越えまでスピードメーターを回し、小生の歴代最高速を経験。ハンドリングも安定、走行雑音も極めて少なく音楽をかけても良いくらいの楽ちんな世界だった。バイクであれば、150km以上は風圧との戦いになって、後方確認するだけでもヘルメットが後ろに持って行かれる。ちなみにF1の最高速が320km以上、耐久レースWECのクルマだと330km以上の世界らしい。
第一コーナーの減速は、ブレーキの性能が分かっていないので、すこしずつブレーキポイントを奥に持っていく。200km以上の高速からの急減速なんて、普通はしないからこのときのクルマの挙動も未知なるもの。なかなか勇気が出せなくて、ついついブレーキをポイントよりも早く踏んでしまいがち。