
スペイン風邪 (swissinfo.chより)
2019年12月8日に中国武漢の海鮮市場で同定された肺炎感染症が、世界最初の新型コロナ感染症とされている。昨年の1月頃の中国武漢でのパンデミックは医療従事者の小生ですら、対岸の火事であって他人事のように感じていた。しかし1年経過し、感染はあっというまに世界を席巻し、世の中を大きく様変わりさせてしまった。そしていよいよ日本にも第3波が襲い、2度目の非常事態宣言が発令されるに至った。
新型コロナ 新規感染者数(日本)
この1年間の新規感染者数は、3つのピークを見て取れるが、今回の第3波がもっとも感染規模が大きいことが分かる。昨年のGW前後に出された非常事態宣言の頃は、明らかに「封じ込め」の意味合いがあったが、9月から11月までの政府主導による「GT TO」イベントがきっかけか、現在はこれまでで最多の感染者数や死亡者数を生み出しており、収束の目処はまだたっていない。
新型コロナ 累積死亡者数
感染者数が増えれば、当然死亡者もふえてゆく。年が変わり第3波の猛威はついには5000人をこえる死亡者を出すになっている。欧米に比べれば、死亡者数は遙かに少ないが、Japan Magic なんて欧米から言われた死亡者数の少なさは、今となっては影も形もない。
新型コロナ 年代別感染状況
感染者数は20代に最も多く、次いで働く年代の年齢層に多い。それに対して死亡者数は、そのほとんどが高齢者の70才以上の年代であり、30才以下の死亡者はわずかに13人。20代以下に至ってはゼロであった。つまり、死にいたるのは余命の少ない基礎疾患を抱えた高齢者であって、若者は死なないということだ。
スペイン風邪(1920年) 当時の国内ポスター
現在の新型コロナ感染症よりも甚大な犠牲者を出した100年前のスペイン風邪。第一次世界大戦の最中、1918年3月のアメリカで最初に報告され、軍隊の人の移動により世界中に拡散された。その後、ウイルスは変異をおこし毒性を高めたりして、感染の渦は1920年末までに「第1波」から「第3波」まで世界中を席巻した。最終的には全世界で1億人近い死亡者をもたらしたとされ、これは感染症のみならず、戦争や災害など、これまで人類が経験した中でも 最も多くの人間を最も短期間で死に至らしめた出来事であった。
スペイン風邪による月別死亡者数推移(東京都健康安全研究センター)
当時の日本の人口は5500万人で感染者数は約40%(2400万人)に発生し、死亡率1.6%で約40万人(国民全体の0.7%)が死亡した。40万人といえば、ちょっとした地方都市が壊滅するほどの人口だ(たとえば岐阜市は40万人、品川区も40万人)。福井県大野にある面谷集落では、集団感染により人口の40%が死亡し離村となった悲劇もあった。第2波では死亡率が増大したが、これはウイルスの変異により毒性が増したといわれている。また、スペイン風邪は従軍するような若年者や妊婦の死亡率が高く、反対に高齢者たちの死亡率は少なかった。その何年か前に発生したインフルエンザの流行が高齢者に免疫をもたらしたと考えられている。新興ウイルス感染という点では、スペイン風邪も新型コロナ感染も類似した疾患であるから、100年前の事例は今の新型コロナ感染症の対応に大きなヒントを与えてくれていると思う。パンデミックは幾つもの波のようにおそってくる、こればかりは文明を持った人類も、他の生き物とおなじく避けられない定めなのだ。

スペイン風邪(1920年) 当時の国内ポスター
封じ込めの限界
これまでの国内の対応の骨幹は、「3密を避ける」「Stay Home」「非常事態宣言」などなど、いすれも感染者数を減らすことに主眼が置かれてきた。このためか、他国に比べて少ない感染率と死亡者数は、「日本の奇跡」とまで言われたが、第3波を受けるにあたりどうやらそれもあやしくなってきた。
すでに、感染者の半数以上が感染経路不明者であり、いつどこで罹患しようが分からないようでは、予防医療の限界を見ている気がする。市内の重症新型コロナ患者を受け入れている医療機関はそれなりに埋まり、担当するスタッフたちは疲弊し、管理する保健所などは業務でパンク状態だ。かたや、新型コロナを扱わない市中の病院やクリニックでは、一般患者の受診控えなどで待合室はがらがら「閑古鳥」が鳴いて病院機能を持て余している姿さえみられる。
つまり、新型コロナ感染症を減らすという大目標は すでに崩壊して形骸化していると思う。感染していても無症状な免疫獲得者やごく軽症ですんでゆく大勢の患者たちに検査や治療などで時間と労力を割かないで、「重症者」のみを拾い上げこれを治療して死に至らないようにすることに力点を置くべきではないだろうか?? 高齢者以外の感染者は、これまでのインフルエンザ感染でそうしてきたように、「2週間の自宅待機・休業」という取り扱いで経過観察し、その上で、状態が悪くなったらしかるべき医療機関に受診をしてコロナ感染症の治療をはじめればよい。
さてここで問題となるのが「感染症法」だ。これは、国内の感染症を5類に分けてその扱いや届出について定めている法令である。現在の新型コロナ感染症は「指定感染症」として、今後どの分類に入れるかの前段階、しかし実際の扱いは「第2類感染症」とされていて、「結核、新型鳥インフルエンザ」など同等の措置が必要で、特定の医療機関(都道府県知事が指定。各2次医療圏に1か所)のみが入院治療ができる。
しかし対応できる病院はとても限られている。たとえば、結核を例にすると、220万人の名古屋市に対して、わずかに2病院(立行政法人国立病院機構東名古屋病院、大同病院)だけが入院治療をおこなっている。それ以外の病院では、結核を治療することはできないのだ。これと同様に新型コロナ感染症を治療している名古屋市内の病院は大学病院、医療センター、日赤病院などの基幹病院でおこなわれているが、そのベッド数には限りがあり200床にも満たないとされている。新型コロナ感染症の診療はすべてこれらの病院でのみおこなわれ、それ以外の多くの市中病院や開業医は感染の有無をチェックするまでで、新型コロナ感染症の治療は一切おこなっていない。
若年者は死亡せず、ほとんど平均寿命に近い高齢者が死に至るコロナ感染症をエボラ出血並みの危険な二類感染症同等の扱いをすることに違和感を感じるとともに、国全体でも数百人規模の重症患者しかいないのに、国の医療が崩壊するなどと恐怖をあおるような意見が出てくることは、何かやり方に欠陥があるのではないだろうか。新型コロナ感染症をこれまでのインフルエンザと同様の5類に落として、市中の医療機関でも扱えるようにすべきと思う。実際、昨年秋頃に新型コロナ感染症を「5類」に格下げしようという動きも厚生労働省であったようであるが、残念にも立ち消えになってそのまま。これには医師会や国の意向が交差して簡単な話ではないだろう。コロナ診療など手間暇かかるだけで収益につながらないとされ、開業医中心の日本医師会は手を染めたがるとは思えない。ましてや再度「非常事態宣言」を出すような時勢になっては、政府も勇気を持って5類に格下げするなどできないであろう。小生は新型コロナ感染症を5類感染症に落とさない限り、医療困窮はつづくものと憂える。
政府が準備したワクチン3種類
いよいよ国内でもワクチン接種が始まろうとしている。このところの「唯一よい知らせ」だ。最近の報告ではファイザーとモデルナのmRNAワクチンが有効率95%と予想を上回る成績が出たことが注目される。副作用としては接種部位の疼痛・発赤などの局所反応や発熱、倦怠、頭痛などの全身症状が報告されてい。また避けられない事象としての重症アナフィラキシーがあり、接種直後の観察も大事だろう。ともあれ、コロナ診療に関与する医療従事者1万人が先発となって接種が始まる。
次いで一般的な医療従事者、施設の高齢者、65才以上の一般市民、その他の市民という順番が予定されてるが、相手は1億人を超える国民全員が対象である。冷所保存しかできないワクチンであるが故、予約が必要なワクチン接種となろう。この点、これまでのインフルエンザワクチンのようなお気楽さは全く通じない。個々の問診も慎重になろう。正に今、どのように国民に接種してゆくのか、国と自治体、医師会などでプランが立てられている最中。仮に小生の病院で一般市民のワクチン接種をおこなうとしたら、毎日100人の接種を1年近く続けなくてはならないだろう。それをするためには、場所とマンパワーを確保する必要があり、とても現状の設備とスタッフだけで施行することは無理な話。きっと自治体や医師会が中心となって、体育館や大きなホールなどで、医師と看護師が出向いた「集団接種」のような大がかりな取り組み方になるんだろうと小生は推測している。そうだな、近くの小学校へ日曜日に選挙の投票に行く感じかな。
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