さて、県道270号の分岐にやってきた。よしよし、今日は通行止めの表示なし、これで温見峠への道筋が確保された。長いこと災害による通行止めが続いていたので、これが通れないと大きく南に迂回する必要があった。
根尾に降りてきて再び北に向かい、川の上流、温見峠を目指す。写真の高い山が能郷白山で、その右稜線にR157号が伸びていって、山頂の向こう側、ここからは見えない当たりが温見峠だ。
岐阜県側の集落「能郷」から峠をはさんで福井の大野まで、Goproを回しっぱなしで動画に収める。峠でバッテリーを入れかえれば、合わせて1時間以上の動画ができるでしょう。さて、出発。
R157根尾ゲート
根尾能郷の集落を出るとすぐにゲートが出現。長期の冬季閉鎖ではここががっちりと閉鎖されて通行を遮断する。今日は全く問題なし、どんどん奥に進みましょう。そうそう、「落ちたら死ぬ」でR157を一躍有名にした看板は、このゲート前に置かれていたが、いつしか撤去されてしまったらしい。
能郷から黒津までの隘路
R157の岐阜県側で最も厳しい区間はゲートから10km先の黒津までであろう。長期に通行止めになるような災害もここでおきる事が多い。狭いし落石は多いし、ガードレールは無いし、このあたりバイクを駐めて険しい景観をカメラに収めるような余裕も無し。
越波村への分岐
黒津の集落から先は川も幅広くなって明るい陽射しも溢れている。右に分岐を進めば、秘境「越波」の集落があり、その先は猫峠、上大須ダムにつながってゆく。
猫峠林道への分岐
もう少し先に進むと右に猫峠林道の分岐が現れる。能郷〜黒津間の長期通行止めの際には、ここから林道を使って上大須の方から根尾に抜ける回り道として用いられる。
大河原の切り通し
岐阜県側最後の集落、大河原を過ぎるとキレイな切り通しが現れる。これを抜けると峠まではいよいよ登りが明確となって峠道の雰囲気が出てくる。
角巻谷 洗い越し
切り通しから峠までは「洗い越し」が5,6カ所にあり、R157をとても印象深いモノにさせている。雨の降った後では、水量も多く道路をお構いなしに流れている。土砂崩れが多いため、敢えて橋を架けないで道路上に水流を「わざと」流しているのだ。これなら土砂が貯まっても、重機で崖下に落とせば再開通まで時間がかからない。調べてみると、国内でもこの洗い越しは珍しいようで、日本で最も洗い越しを体験できる道路だろう。
温見峠 標高1020m 12:20
能郷から走り出して40分、温見峠に到着。それほど道も痛んでいなくって順調だった。さすがに国道は除雪も早いんかしらん。温見峠は其処までの走り甲斐はあるものの、峠からの展望はあまり期待できない。稜線から伸びる登山道でも少し上がれば、さぞかし素晴らしい景色があるんだろうな。いずれ、歩く支度をして冠山の山頂を目指してみよう。
福井県側の下りは、切り立つ山に沿ってグングンと高度を下げてゆく。急峻で深い谷を薄っぺらなコンクリ橋で越えてゆく。左は川に向かって深い谷、もちろんほとんどガードレールなど備わっていないから、落ちたらバイクはもちろん、自分も上がってこれるかも分からない。数年後でもいいから、見つけてもらえるといいのだけど。
温見ストレート
廃村の温見を過ぎると、まっすぐな直線路を1km以上進むことになる。これまでクネクネの連続だったから、この直線は癒やされる。いつしかマニアの中では「温見ストレート」と呼ばれるようになった。
福井大野 13:00
雲がポカポカ浮いている晴れの大野にたどりつく。狭い山道の世界からこの広々とした景色に突然に放り込まれると心まで晴れるよう。住居が少なく高い建物もないので、まさに山に囲まれた盆地ってのがよく分かる。根尾からここまで55km、1時間20分で分水嶺を超えてきた。大野の町ではガソリン満タン、小生も越前蕎麦をかき込んで腹ごしらえ、
さて、帰路は越前方面から高速で敦賀、関ヶ原と帰るか、九頭竜経由で白鳥から高速で帰るか、ちょいと悩む。まだ時間あるし、九頭竜の先の油坂峠を越えれば、5つ目の分水嶺越えとなるので、そちらのコースを選択。
仏原ダム 九頭竜川
九頭竜川の濃い緑と新緑の黄緑がコントラストで綺麗。道路標示では気温も25度、走っていないとレザースーツが暑くて重い季節になってきた。
中部縦貫自動車道
九頭竜周辺では至る所で工事現場に出会う。土砂を運ぶダンプカーもバンバンホコリを巻いて走っている。つい最近の報道では、大野から白鳥までの開通時期の公表があったようだ。それによると全線開通は令和8年春、あと5年で愛知・岐阜から北へ抜ける高速道路が開通する。大正時代に越美線として電車でつなぐはずだった悲願が100年ぶりに実現。
R158 旧油坂峠
このあたり、平坦な場所がないので、高速道路を引くのは大変な作業だろう。白鳥側の油坂は立派なループトンネルが既に完成しているので、西からトンネルと道路が伸びてきて、いずれそのトンネルに繋がるわけだ。旧道のトンネルへは、手前から脇道があってそれを進む。
油坂峠 標高780m 14:50
最終目的地の油坂峠に到着〜〜 今日は分水嶺を北へ南へ5回横断したことになる。冠山峠が抜けられなかったのが残念であるが、初志貫徹で達成感あり。天候が良かったので、いっぱいGoproに動画を収めてきた。家に帰ってシャワーを浴び、冷えたビールでぐいっとやりながら、今日の動画を編集するのも もう一回ツーリングするようでたのしい。
帰宅 16:20
高倉峠から冠山峠あたりの土砂崩れ跡を走ったから、バイクはかなり汚れてしまった。ホースの水でも敵わないので、コイン洗車場に持ち込んで、すっかりキレイにしてから帰宅。走行480km、燃費は18km/L まあ、こんなもんでしょ。