尾鷲 21:15
バイクの楽しみ方は人それぞれ。キレイにいじって手元で眺めるのが好きな人がいれば、走ってばかりの人もいるだろう。小生は、間違いなく後者だ。オートバイで未知の路を走ってみたいという衝動は、自転車で近所を冒険していた小学生の頃とまったく同じ。
「日本有数の激しい道」とか、「災害で通行止めばかりの道」と評されるのであれば、なおさら走ってみたい。そんな道の代表格が国道(酷道)425号で、小生は国道の起点から終点までを走りきった事は無い。今回、三重県の道路規制を見ていたら、ずーっと開かずのR425尾鷲区間が通行可能になっているのを知る。雨の季節になれば、土砂崩れなどで再び通行止めになることは必須と思い、意を決して酷道425号の貫抜に挑戦した。
名古屋からの日帰りも不可能では無いけど、まだ季節は3月で日が短いから、スタート地の尾鷲まで、前日に前乗りを決めた。仕事を終えて荷造り、ささっと、180km先の尾鷲まで夜間高速走行を続けた。
つりえさ市場 尾鷲店
翌朝の出発が早いので、ガソリンを満タンにしておきたかったが、三重県南部では唯一の24時間営業のガソリンスタンドを見つけて事なきを得た。同じように、24時間営業のつりえさ屋さんが元気に営業していた。さすが、磯釣りのメッカ、尾鷲だ。
尾鷲 7:00
日の出は6時で、ビジネスホテルを出発した7時ではもうすっかり明るくなって、職場に向かう人たちも動き出している。周辺の工事関係の人たちだろうか、お宿は平日であったがそれなりに混んでいた。
尾鷲港
尾鷲の海から出発して、和歌山の海をめざすR425だから、スタートの尾鷲港に挨拶にやってきた。この日は降水確率0%、暖かい日になりそう。
尾鷲神社 生牡蠣仕入れツーリングで、コペンで参拝した尾鷲神社にも立ち寄り。これから帰宅するまでの安全を誓う。


R425起点 尾鷲 坂場交差点 7:10
さて、R42と交差するR425の始点にやってきた。歩道内にバイクを駐めて、旅立ちの写真を撮っていたら、交差点の向こうにいたお巡りさんが近づいてきた。「歩道にはバイクを駐めないように」とお小言をいただく。すぐに立ち去りますと伝え、重いバイクを手押しでバックする(お巡りさんいなければ、そのまま歩道から車道に走って出ようとしていた)。
「どこまで行きますか」「そーですか、これからR425で御坊まで! 道中お気を付けて」などなど、最後には励ましの言葉を頂いて、今日の耐久ツーリングが始まった。

尾鷲 南浦
尾鷲に来るたびに、R425が開通していないか、通行止めの看板を確認していた。きょうは、あの忌々しい通行止めの看板も皆無、うわ〜、やっぱり通行止めが解除されている!! ここから先は、小生には未知の領域、このワクワク感がたまらない。

電光の道路案内にも、通行注意とあるだけ。さてっと、小生は予定通り、和歌山の御坊まで行けるんだろうか。


坂下隧道 7:16
尾鷲の市街にせり出したお山をぐいぐいと登り、峰を越えるところに出てくるのが、坂下隧道。古めかしいレンガのポータルと高さ制限のゲートが味わいあり。内部は補強がしっかりと、オレンジの照明も明るくて美しい。反対側のトンネルの扁額(銘板)には「坂下隧道」と逆文字で記載されている。このトンネルは明治に作られて、100年以上も現役で役に立っていて、国道のトンネルとしては、国内最長齢らしい。


クチスボダム 7:25
R425の尾鷲〜下北山区間は、3つのダムをつないでいる。道があるってのは、目的があるから。つまり、かような災害が多い山奥で国道を維持する動機は、これらダムの管理がメイン。R425もはじめは、住人たちの小径、林道であったものが、ダム建設により最終的に国道にまで格上げされたっていうのが、成り立ちだ。それにしても、クチスボダムとは面白い名前。たしか、「くちぼそ」って名の川魚がいたっけ?? ちょっと違うか(^^)


又口川
国道は又口川にそって、高度をあげてゆく。この川は下流に行けば銚子川となり、弘法かきで有名な相賀の海に流れ着く。左右に現れるのり面補強工事跡はまだ真新しいモノも多く、これらの工事で通行止めになっていた可能性があるだろう。頑強な金属ネットで幾重にも覆われて、自然との闘いを物語っている。

北面の遠望 大台ヶ原方面
国道は谷の底を走っていたが、やがて山越えのために徐々に高度を上げてゆく。日の出からまだ間もないので、斜めにさす朝日は、山の凹凸を明確に照らし出す。みえる向こうの山々は、大台ヶ原がある当たり。紀伊半島でも山深い領域だ

八幡トンネル 7:50
尾鷲〜下北山区間で最も高い位置にある八幡トンネル(海抜676m)に到達。4年前のSNSには、この尾鷲側出口の崖崩れで通行止めが続いたとある。きっと、この左手のコンクリートののり面がその工事したところだろう。


三重・奈良 県境 8:00
トンネルの先は、深い深い谷間が続き、折り重なって現れるお山が陽を浴びて美しい。そして唐突に県境の表示、ここからは奈良県に変わる。峠でもないし、川でもないし、不思議なところにある境界線。



奈良県に入ると、古川にそって坂本ダムに至る。鋭利な谷は、岩壁あり、奇岩ありと景観に変化があって面白い。落石防護ネットをすり抜けて、山側の路肩はがれきの山となっている。見た目、白っぽい石は、石灰岩だろうか。であれば、滋賀の霊仙山のように脆くて崩れやすい岩に違いない。


集落 名護瀬 8:10
尾鷲〜下北山区間は、ダムで埋没してしまった集落はあるが、道沿いで集落っぽいのは、この廃村だけ。わずか、数軒の民家と神社が残っている。林業に関わってた風の作業場があったり、誰かの置き去り自転車とか、味わいあり。

冬期でダム湖の水位が低いのか、もともとの峡谷の姿が見える坂本ダムの上流。

坂本ダム 8:30
もういい加減、ダム湖沿いの変化のない道に辟易してきた頃、やっと坂本ダムに到着。戦後の国土総合開発法により、電源開発は急務となり、この地に坂本ダムと池原ダムが建設されることとなる。いずれも、1960年前後の戦後高度成長期に入り口の頃、R425の開拓とダム建設は国家レベルで遂行される。坂本ダムは黒部ダムのように美しいアーチ式で躯体上部も通行できる。堤の高さは100mあるそうで、高所が苦手な小生は、ちょいとのぞき込むのが精一杯。

ダム湖の道は、それなりに幅員があって走りやすいが、如何せん、景色が単調で飽きてくる。飛ばせるワインディングであれば、楽しさも出てくるが、砂利や落石、苔など、路面を注意していないとやばい。それも、疲れを倍増させる。

備後橋(びんご) 8:45
あれ、さっきも似たような赤い橋を渡ったような。。。この手前にあったのが「出合橋」だそうで、これは備後橋。池原ダム建設にともなって60年前に作られた。

林道 備後川線
橋を渡った対岸から分岐する備後川線は、南に下って23km先のR42につながる走り甲斐ありそうな林道だけど、前後でゲートが閉まっているとも情報あり。この日は通行止めの表示無し、チャンスがあったら再訪したい。ただし、セローの出番だね。

土石流跡
遙か上の方から、土石流でもあったのか、沢山の倒木と土砂が流れてきた跡が残る。このあたりも、長期通行止めとなった原因の災害現場か。

大瀬水没之碑 9:00
この先の池原ダムにより水没した集落の記念碑。山あいに作られたダム湖の周辺には、きえてしまった集落を忍ぶモニュメントを見かけることが多い。

池原ダム
洪水吐 9:05
尾鷲から走り出し、やっと人の気配を感じることのできる池原ダムまでやってきた。尾鷲の国道始点交差点から、2時間かけて、42.9kmを走り抜く(時速20kmちょっと!!)。山道走行になれた小生でも、かなりのスローペースであった。発電所と洪水吐はダム本体とは離れた場所で、洪水吐からクネクネ流れる北山川を見下ろす。蛇のように蛇行する川とダムの人工物、取り巻く道路がぐちゃぐちゃになって、何度来ても道路標識をよく見てないと行く先を間違える。


池原ダム躯体
強固な左右の岩壁を突っぱねるように作られたアーチ型が美しいダム。躯体は巨大で、上を走る国道も普通にセンターラインが引けそうな幅広。先ほどの坂下ダムよりもさらに大きい。これらの水力発電は、日本にとって貴重な電力資源となるだろう。だたし、現在の総電力に占める水力発電は、わずかに8%でしかなく、70%は化石燃料が原料だ。かといって、自然破壊とコスト高などで、ダム建設がこれから先、安易に増えるとはおもえない。

上池原交差点 9:15
久しぶり?というかスタートの尾鷲市内から、ずーっと信号を見てこなかったんで、信号交差点は人里にでてきた安堵感あり。まっすぐにゆけば、熊野、大泊の海に通じる。R425は再び山手に登る。これから先は、下北山〜十津川の第2区間となる。

下北山の集落でみかけた白梅、紅梅。酷道の山岳地帯には、梅などまったくなかったから、梅は人の手で育てられる樹木なんだと納得。




池神社 明神池 9:25
下北山の集落から急坂をぐいぐい登れば、右手に池が出現。その脇には、赤い鳥居の池神社が祭られている。明神池と名のついたこの池は、地元の人からは島神社とともに聖域とされ、崇められてきた。四方を峰に囲まれて流入する川もないのに、不思議にもその水位は増減し、時には道路もお社も水没するほどにまで水位が上がるようだ。
釣ることも禁止されている池のコイには、100円の餌が用意されていて、小生は2個分を食べさせてきた。まだ寒い時期なのに、コイの食欲はモリモリ。

まだ真新しい大規模な災害跡の修復の様子。コンクリートで固められたのり面に落石防護ネットがキッチリ張られている。がっちりした軽金属の支柱やネットをのり面の凹凸を考慮してキレイに設えるのは技術が要るだろう。芸術作品と呼んでも差し支えない。酷道425号の通行を支えるのは、このような多くの人たちの尽力だ。
転法輪岳 1281m
酷道はぐいぐいと高度を上げて登り道。その先に見えてきたのは、転法輪岳で、左に続く尾根の下をこの先の白谷トンネルが貫いていて、ダイナミックな展望を楽しむ。ガードレール上には、位置を表す標識が、100m事に表示される。374とは、通過してきた三重県との県境からの距離を示していて、37.4kmということだ。今日のR425酷道ツーリングを1枚の写真で表せと言われたら、この1枚かな。

カナウナギトンネル
通過するトンネルの扁額(銘板)はチェックしているが、写真を撮りたくなった「カナウナギトンネル」、、、いったい何の名前だろうか? うなぎの一種? こんな上流にうなぎなんて生息してるんだろうか? ヒントも見つからない。


もう少しで峯越の白谷トンネルとなる、西方面を見渡せるカーブでひと息して、走ってきた登り路を俯瞰する図。ガードレールには赤ペンキで「ケイタイOK」とかかれてあるけど、ホントかな??


白谷トンネル 10:00
下北山〜十津川区間で最も標高の高い場所、白谷トンネルに到着、尾鷲を出てきてから3時間が経過。ポータルの左手には石文あり。県道林道白谷線竣功記念とかいてあり、この路が以前は林道であったことがわかる。「千紫万紅」とは、色とりどりの花が咲き乱れる情景。また、さまざまの色彩。とある。深い山の四季折々の美しさを表したのだろう。

白谷トンネルを抜けると上北山村から十津川村になる。高所の峠にあるトンネルは、出口がこんな風に空しか見えない事が多い。峠越えの達成感を味わえる刹那だ。

空中の村
トンネルを過ぎれば、元は林道、クルマ同士では離合ができない1.5車線の酷道が続く。待避所もまれ、ガードレールも無いとくれば、運転に慣れていないドライバーにはキツい。しかも、苔むしたり、落石などにより、路面上もずいぶんと荒れている。安心して走れるのは、クリーンになっているタイヤのわだち60cmくらいなもの。バイクにとっては、永遠に続く試験場の「一本橋」みたい。そんな地面ばかり見ていた先に、人里の施設の看板。「空中の村」とは、なに?? 後日調べてみると、木々にネットを張り巡り、縦横に木の上の活動ができるようにした有料施設。こんな山奥だけど、人気はあるみたい。小生は、まあいいや。

十津川村 小川 10:35
集落も見当たらない、木々の中をクネクネとひたすら走っていると、見覚えのある看板が出てきた。玉置神社から十津川に降りてくる道との交差点だ。玉置神社まで8km 瀞峡まで13kmとの表示、三重を出発して、いよいよ十津川までやってきた実感が沸いてきた。


大泰の滝 10:45
この先、連続して3つの滝が見ることになる。小さな展望台と滝の名前が書かれてあるが、これを知らなければ通り過ぎてしまいそう。大泰(おおたい)の滝はエメラルドの水面と滝の白とのコントラストがキレイ。



清納の滝 10:50
今度は右手に枝道があり、小さな看板に釣られて、200mの表示を信じて歩き出すと、ホントにすぐに「期待以上」の景色が飛び込んできた。大きな滝壺、透明感たっぷりの緑の川面、上品な、でも、しっかりとした水量の滝。当然、独り占めの景色は満足満足。今回の酷道425号ツーリングで滝部門、優勝でしょうね。

なので、珍しく、タイマーかけて自画撮り。

不動滝 10:55
3つ目は、対岸の岩壁から落ちてくる細長い滝。ベタな「不動滝」というネーミングは、どこから来るんだろうか。言葉として、「不動」とは、多くの人がそう思う、ハズレのない、間違いの無い、なんて言葉が連想されるかな。それだけ、美しくてスゴイということだ。

R168号交差点 11:00
さて、滝3つを鑑賞して、降りてきた集落が「滝」とは、安易な(^^)地名。でも、きっとあの滝たちがあるから、集落の名前もそうなったんだろうね。これを右折すれば、小生の大好きな湯泉地温泉。しかし、今日はこれを左折、十津川の集落へ向かう。

十津川温泉 庵の湯 11:05
尾鷲を出て4時間後に、酷道425号の中間地点、十津川村の中心地にやってきた。入浴してもいいかなとやってきた庵の湯は、コロナ禍で12時からの営業でまだ準備中。

十津川ラーメン 輝
周りを見渡したら、庵の湯の反対側に、営業中と看板のあるラーメン屋さんを発見。御坊まで行けたら、和歌山ラーメンを食べるつもりなので、お昼にラーメン食べちゃいかんでしょと思いつつ、山奥では「食べれるとこで食べておかないと大変!!」とも。ということで、開店早々のお店に突入して、看板メニューの十津川塩ラーメン。あっさりしてそうで、でもお出汁がしっかり主張していて、具材の丁寧さと合わせ、とても美味しかった。
さてさて、ラーメンが出てくるまでの間、この先どうするのか、思案した。実は、十津川〜龍神間のR425が「4月1日まで冬期間通行止め」になっているのだ。また、それを迂回する県道735号は通行可能と確認済み。A案:「迂回路を走ってしまえば、完全な酷道425号の貫抜きとはいえなくなるから、4月以降に再挑戦としてここから折り返す。」 B案:「通行止め区間は以前に走ったことがあるし、折角ここまでがんばったのだから、迂回路を使ってでも完走する。」
う〜〜ん、このままがんばるか、この十津川温泉で風呂でも入って帰宅しようか、どっちにしよう?。
「MT-01OS 48 酷道425号 2/2 十津川から御坊まで」に続く
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