XT250 セロー 25th 2010 6:45
5月も後半となり、そろそろ梅雨入りもささやかれる時期になった。冬期通行止めが解除された奥美濃の山々へも、梅雨になったらそうそうも行けまい。晴れ間をまって、セローで今季初めてのお山へ向かう。
岐阜三輪スマートIC 7:40
東海環状自動車道も随分と延伸し、2年後には、岐阜ICができて北部がつながり、4年後にはついに養老山脈にトンネルが通って全線開通の予定。完成すれば、アクセスの悪かった奥美濃への交通が改善される。
尾並坂峠 8:15
R418をグングン西進し、根尾への入り口、尾並坂峠を超える。
r255 8:26
温見峠が目標であれば、樽見まで進んでR157を登れば良いけど、今日は越波周辺を探検したいので、r255で上大須方面へ北上する。
トンネルいくつか超えると、山神さんたちの根尾そうめん会場に遭遇。冷たい水がざくざく流れていて、バシャバシャ顔を洗ったら気分爽快。
上大須 神明神社 9:00
上大須の集落に入ると、目立つのが大きな鳥居。川向こうにお社あり、左手には清水が湧いている。村の鎮守であろうが、それにしても立派な鳥居。落ち葉も見当たらない手入れの入った境内、村の人たちに大切にされているのがうかがい知れる。
もう少しで上大須ダムというあたり、厳重にフェンスで遮断された枝道あり。これを進めば、幻の川浦ダムへ到達できる。幻といわれると見たくなるのが人情ってものだ。
上大須ダム 9:07
駆け上がった終点が上大須ダム、中部電力が水力発電のために、奥の川浦ダム共々建設した。昨今の電力供給事情からみれば、大切な水力発電だ。周遊道路は両岸とも通行止めとなり、ダム湖の全容を見る事はできない。
折越林道
さて、上大須の集落に戻り、折越林道に入って越波集落をめざす。林道とはいえ、R157の迂回路になることも多いので、立派な道路情報板が設置されている。
折越峠 9:25
くるくるっと登ると、折越峠。可愛い前掛けをつけた峠のお地蔵さん、お花も生けてあって大事にされている。ココに限らず、出会う峠のお地蔵さんたちの多くが、大切に管理されて地元の人たちに尽くされているのを知る。
大栃の木
峠の下りの路傍にでっかい栃ノ木にであう。樹齢350年という巨木は、江戸時代、赤穂浪士の討ち入りがあった頃に生まれたはず。ずーっと峠を行き交う人を見てきたんだ。
養蜂
養蜂の現場に遭遇。ネットを被った作業中の人の周りは、蜂が黒だかりに舞っている。小生はここなら大丈夫。
洗い越し
温見峠や冠山峠で出会う洗い越し、越波でも見かける。バイクは立てて通り抜けないと、苔でツルンと転倒しやすい。
越波集落 9:43
ぽつんと一軒家じゃないけど、奥美濃の山奥、越波(おっぱ)の集落。この集落を訪ねるのはお気に入り、越波独特の空気感が好き。集落を貫く一本道をゆっくり走る。
越波村民の館
廃校となった小学校の建物は、集会所として活用されているが、人の気配を感じない。この日は、ご夫婦が畑の世話をしているのを見かけたのみ。昭和54年にR157とつながるクルマ道ができるまでは、わずかな荷車道だけが人里と越波をつなぐ生命線だった。
ナンバーのない古い軽トラと越波の典型的な民家。この地域は豪雪地帯だから、庇を支える柱の追加が独特だ。冬期は建物が雪で埋まってしまわないように、この柱をすっかりと壁板で覆ってしまう。
NTTドコモじゃなくって、ソフトバンクなんだ(^^)。
「越波だより」
すでに定住する住民は見当たらず、雪のない期間のみ、一部の住民が集落に戻っている。そのつながりを示す刊行物が掲示板に残る。しかし、最新の掲載号は令和元年のもの、もう廃刊になっちゃったんだろうか。道路ができて下界と交通できるようになると、人の流れも大きく変わる。便利をもたらすはずの道路は、それまで自給自足で過ごした住人たちが都会へ流出するきっかけにもなる。
願養寺
集落の中心といえるお寺さん。歴史は古く7世紀には建立されたよう。このお堂は、後に挙げる「越波、夏の夢物語」の舞台となっている。積雪は2mをこえるので、庇に補強の柱が追加されている。現在は岐阜市内に別院があり、そちらで脈々と仏事が継承されている。
鐘楼
朽ちていた鐘楼は寄進により再建され、靜かな集落に鐘の音を響かしている。賽銭箱には、「どうぞ、ご自由に撞いてください」とあり、賽銭箱にチャリンと音させて、撞かせていただいた。ご〜〜ん、と良い音、越波の集落に響き渡った。
越波の銀杏
境内にそれはそれは立派な銀杏の木が立っている。幹回りは4.6mで枝張は15mと巨木、乳が出ない母親にこの木を煎じて飲むとよいという言い伝えが残っている。なるほど、枝の分岐には何やら「乳」のようなこぶができていて、ここから信仰がはじまったらしい。
八幡神社
村の鎮守、八幡神社。苔むした石段を上がれば、木造家屋があり、その中にお社が祀られる。微妙な建物の向きが気になる。始め北向きであったが、東に向きが変更されたらしい。
上記は、小生が越波をより好きになったきっかけとなる「読み物」で、菊地憲二さんが書き上げ、「たまに一言のあしあと」さんが取り上げたもの。50年前の素朴な原風景がざわざわ蘇るような文章表現、そこに登場する人物像の豊かさ、何度も読んだ。短編紀行記として、陽の目を見ても良いと思う。
河内谷 10:21
越波の集落を堪能した後は、さらに根尾西谷川を上流へ向かう。まずは最深部の河内谷を進めるだけ進む。拓けていて、明るく気持ちのよい谷。越波集落はそのはじめ、この谷に「頭矢村」として人が住み始めたのが最初といわれ、土石流などの災害を逃れて今の越波の位置に移ってきたらしい。青く透明な水をためた堰堤を過ぎて、5kmほど入ったところで通行止め。地図上では、まだ林道は続いているようだがここでUターン。
岩ノ子谷 10:47
河内谷を下り、右手に分岐するもう一つの支流に入る。こちらも陽射しにあふれた谷で気持ちよい。澄み通る川の淵は、キレイだけど引き込まれそうな怖さがある。3kmほど味わいある砂利道を進むと、堰堤が終点。まだまだ、この上流には複数の谷に分かれ、やがて1354mmの屏風山に至る。奥美濃のまさに最も北の端、山深いところ。
猫峠林道
2つの谷を楽しんだ後は、元に戻って猫峠林道を進む。
高度を上げてゆくと、右手に先ほどの岩ノ子谷を見下ろす図となる。山の緑の濃淡が陽射しに映えて美しい。そして、気分よく走ってた場面で、山奥で最も会いたくない相手と出くわしてまう。そう、熊だ。しかも、小熊。20mほど手前で一旦とまって、左手の藪に消えるのを待ったが、生きた心地がしなかった。きっと親熊が近くにいるはずだ、カメラを取り出す勇気も無く、ダッシュでその場を去った。さすがに熊と鉢合わせはまずい。クマ除けの鈴をつけてはいるが、襲われたら関係なし(°0°)。
猫峠 11:00
拓けた峠に出てきてひと安心。先ほどの分岐に「熊注意」とあったが、マジだったね。
R157 大河原 11:05
峠からの下りもあっという間で、R157に合流。さあ、これを登って温見峠にむかいましょう。
XT250 セロー 23 2/2 に続く
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