焼岳北峰
1日目の様子

乗鞍高原温泉 みたけ荘
2日目の朝、出立の準備を整えて、7時の朝食を頂く。食堂には、少なくとも20年前から同じ場所に同じポスターがかかっている。スキー宿にユングフラウの美しい景色はお似合いだね。変わっていないことに、それはそれ、時の流れを感じ入る。

Mt.乗鞍スキーリゾート みたけ荘 7:20
登山の服装で、お宿を出発。女将が菜園のもぎたて「番所きゅうり」と辛くない大きな「トウガラシ」を持たせてくれる。ありがとうございました、ゲレンデにスズランが咲き誇る春に、家族連れてやってきますね。

乗鞍高原から山越えの林道で白骨温泉へショートカット。もう少しで「泡の湯」といったあたり、雲ひとつない「乗鞍岳」を朝日が照らしている。良い天気になった。本当に天候に感謝。


白骨温泉 7:40
宿泊者のクルマで一杯な、混浴大露天風呂の泡の湯旅館を横目に、白骨温泉を通過。気温8℃の表示が納得できる涼しさ。ちなみに、乗鞍高原温泉の源泉は、このお隣。

中の湯ゲート 7:53
クルマの少ない梓川沿いを快調に飛ばす。車窓の景観はダイナミックな谷と川、贅沢な朝のドライブは楽しかった。坂巻温泉を過ぎたら、もう上高地への入口、中の湯ゲートの交差点。

中の湯温泉旅館 8:03
安房トンネルの手前で旧国道の分岐を右に。安房峠へのヘアピンを「6つ」駆け上がると、左手に中の湯温泉が見えてきた。今日は中の湯温泉から焼岳の往復登山、早めに下山してゆっくりお湯を楽しもう。宿の受付で宿帳の記入と登山届を書き残す。準備万端、いざ、出発。

焼岳 新中の湯登山口 8:44
登山口はさらにヘアピン3つ先の旧国道にあり。宿からは小径で登坂してショートカットが出来る。それでも、準備運動にしては、お腹一杯の登り。お宿では、「だいたい6時間くらいの行程です、16時までには下山してくださいね」と説明を受けていた。ヤマップでは、コース定数19〜「ふつう」となっている。さて、歩き出すよ。

廃車 8:50
登山口から100mほど入った場所に、ひしゃけたクルマが路傍にあり。メッキバンパー、ドラムブレーキ、などなど、昭和50年代の国産小型車と推測。この登山路では有名な廃車だそうな。上から落ちてきた書かれることが多いが、この上には道がないので、登山路を迷入したと小生は推測。それにしても落石でここまでぐちゃぐちゃになるだろうか、そこは不思議。

標高1600mあたりからの登山道は、その後200mほど急登が続く。薄暗い森が続くので、気分イマイチ。風も抜けないので、じりじりと汗をかき始める。

その後、標高2000mまでは、なだらかなアップダウンを繰り返して高度を上げる。昨日までの雨で、低地は泥沼化。。。上手に踏み場所を探しつつ、絶対転ばないように注意する。こんなところでドロだらけにはなりたくないよ(^^ゞ。

10:13
歩き出して1時間半、やっと暗い森を抜け出して、標高2000mを越えた明るい木場に。めざす焼岳山頂もクッキリと見えて、俄然「ヤル気」が出てきたよ。山頂の火山ガスが煙のように見えてる。単独行の登山者に声をかけて、写真を撮りあった。それにしても、ここまでで随分と汗をかいてしまった。帽子のひさしからしたたり落ちる様子は、まるで雨水のよう。持参したお茶で補充しつつ歩みをすすめる。ここからは、ヘルメット着用した。


森が消えて、頂上に至る広い下堀沢にでてきた。見通しもよくなって、風も通るようになった。しかし、直射日光がいつもよりも強くじりじりと体を焼く気がする。

小休止 10:30
頂上が見えるようなって、日陰のない急登がはじまると、どんどん体力が失われるのを感じる。どうやら、汗をかきすぎたようだ。頭の発汗が多い小生なのに、通気の悪いキャップを使っていたのも災いした。脇の草地にへたばって、10分ほど休憩。この体力で下山ができるだろうか? このあたりで引き返すべきか? かなりマジメに考えた。

10:53
あと300mほどで頂上のはず、ここまで来れたのだから、一歩一歩進めば登頂できるだろうと「覚悟」を決める。ゴロゴロの石で歩きにくい登り、小休止を繰り返し、少しづつ歩く。この時、20分かけて100m登るのが精一杯。ふり返っても、このあたりの出来事を思い出せないくらい、辛かったね。

それでも、少しずつゴールが近づいてくる。中腹から見えた噴出する火山ガスもあんなに大きく見えてきた。

焼岳北峰の岩肌よく見えるようになった、もうすこしで火口縁に出るよ、あともうちょっと。


焼岳南峰 11:30
あ〜、ついにここまで来ることが出来た。左手には、立ち入り禁止の南峰。実はこっちの方が標高が高い。噴火口には、火口湖の正賀池。ふり返って、苦渋してきた下堀沢を見下ろす。頂上についたら、お茶をいっぱい飲もう、そして糖分補給も。それを楽しみに、あともうひとふんばり。

北峰の岩壁にそって、右に回り込む。転ばないようにポールで体幹を支える。後ろからの登山者には道を譲り、自分のペースで上がる。

北の新「中尾峠」に至る登山路と合流する尾根で、ついに上高地を見下ろすことが出来た。ヤッタ〜、これを見るのが1番の目標だった。昨年、大正池の水面に映る「逆さ焼岳」に感動してから、ずっと抱いていた願いが叶ったね。

大正池と焼岳(R5年8月)

焼岳北峰11:37
左手に北峰へ最後の30mの登り。足下の岩間から、小さな火山ガスがあちこちで噴出している。

お〜〜、山頂だ!!
11:45
新中の湯登山口から3時間、標高差900m、3.8km歩いて、焼岳頂上に立つ事が出来た、感無量。俯瞰する上高地、大正池から帝国ホテル、河童橋あたりまで識別できたね。
穂高連峰
上高地の左手、奥に続く山塊が穂高連峰。西穂山荘のオレンジの屋根が小さく見える、その奥が西穂高岳、右に張り出して雲に隠れているのは、前穂高岳だろう。見上げるばかりだった穂高の山に、ちょっと近づいた気がした。

南の火口縁を望むと、先ほどの南峰が正面に。こちらは2393m、あちらは2455mだそうな。

撤収 11:57
登頂して腰を下ろした途端、雲が湧いてきて、下界は雲の中。糖分をとって、お茶をおなかに収めれば、帰る気力も湧いてくる。帰りも時間がかかるだろうから、早々に下山開始。

頂上に通じる岩登りでは、地熱の温かさを両手に感じる。今季はレベル1であったが、活動が活発になれば、とても危険な場所になることが分かる。

中尾峠へのルート 12:17
先行する登山者について行けば、上高地につながる登山路。自分の体調と休日の上高地の混雑を考えて、今回は中の湯からの往復ルートになったが、いずれはここを乗り越えてみたい。

帰り際、火口縁から見返して、雲に包まれた頂上と火山ガスの姿を見納める。登りの晴天が嘘のように、雲が出てきた。

2100m付近 12:56
登りで苦しんだ300mほどの急登区間、下りもゴロゴロ石が滑りやすく、2度ほど滑って転んでしまう。支えのポールに足が引っかかったり、後傾になってふらついたり、、疲れているのが自分でも分かる。

登るも降りるも時間を要した下堀沢、次回はサクサク登るからね、それまで待ってなさい。

登山口近く 14:53
下山で出てくる右膝の痛みを予想して、サポーターを右膝にまいた。後ろからの数組にお先を譲り、ペースはぐっと落ちてしまったが、一歩一歩丁寧に歩いてきた。20分づつの小休止を繰り返してきたら、下山にも3時間を要した。後半は写真に残す気力もなかったので、旧国道を見たときの安堵感はひとしおだったね。

中の湯〜焼岳往復

中の湯温泉旅館 15:12
クルマにたどり着いて、靴を脱ぐときの開放感ったら、すばらしい。右膝のサポーターも活躍してくれて、膝の痛みは許容範囲。

リュックと着替えの入ったボストンバックを抱えて、玄関までの石段が、まじで最後の難所だった(^^)。

上高地ゲート近くにあった、旧「中の湯」を知っているので、現在の立派な館内はびっくりだね。1998年にこの地で営業再開と聞く。


HPより
お湯は単純硫黄泉だけど、乗鞍のような白濁はなく、舞う湯の花は黒い。内湯は、あつめ・ぬるめの浴槽が2つ。前日のみたけ荘もこちらも、「秘湯を守る会」のお宿。

食堂は連休とあって、いっぱいの食卓で満たされていた。海外からの登山者、老若男女のひとり登山客も目立つ。1名様の予約設定があるのは、ありがたい。

玄関も浴場前のくつろぎ場にも、鈴虫が元気に鳴いていた。おかげで、翌日もずーっと頭の中で鈴虫が鳴いてる気がした(^^ゞ。
月下美人
ロビーや2階の踊り場で、立派な勢いの月下美人に出会う。何がすごいって、ほぼすべての葉先につぼみをつけているのだ。よほど育て方が上手なんだ。この鉢も10個ほどのつぼみを数えることが出来た。一晩に全部咲くのだろうか、それともバラバラか?どちらにしても、さぞかしゴージャスだろう。

旧館露天風呂
旧館の豪快な露天風呂は、梓川をはさんだ国道の向かい側にあった。学生の頃、友人たちとココから素っ裸で、国道を走るクルマたちに手を振ったなつかしい思い出。さて、さて、無事に?焼岳登山を成就した。早めに布団に入って休むとしよう。明日は、どうしようか? 体力残っているのなら、乗鞍も訪ねたい。

山行記 19 安房峠 乗鞍岳 腓骨神経麻痺に続く
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