酷道 157号 温見峠
ココまでは こちら

この日の行程

福井県道34号 松ヶ谷宝慶寺大野線 10:59
池田町の名勝地を訪ねたら、お次は大野の町へ山越え。分岐の交差点には、交通整理人が在駐して物々しい。

池田町から大野市へ

足羽川(あすががわ)ダム
県道を少し登れば、ダンプカーやセメント運搬車が走りまわる工事現場に踏み込む。工事用の鉄骨作業路を登ると、左手にダム建設現場を見下ろす。2020年に本体工事が始まり、2029年に完成予定。2004年の福井豪雨による福井市水害を教訓に、治水目的で建設されている。調べると、30年以上前から計画されていたが、
紆余曲折を経てこの地に建設が決まった。経過を勉強するだけでも、時間がかかりそうな歴史がありそう。
重力式コンクリートのダムは、膨大なコンクリートを要する。コンベアで運ばれてくるコンクリートを巨大なバスケットで運び、積み重ねてゆく。ダム本体の建築ももちろんだけど、それを支える周囲の設備もスゴイ。建設のために。こんな斜面に足場を組んで、ダンプが走る仮設道路を作って、すべてのスケールがでかい。

バケットから落とされたコンクリートをブルドーザーが平らにならして、ダムの厚みを増してゆく。気の遠くなるような作業だ。治水目的のため、普段は「穴あきダム」として川のように流れるが、災害時には洪水を防ぐために貯水する。ダムってのは、山奥に出来るのが常だから、このダムのように、身近に現場を見ることができるのは稀だよね。

ベルトコンベアの先には、コンクリートを製造する大規模なプラントが出来ている。ダムの大きさからすれば、「アリ」さんのようにちっちゃな人間が、どでかい構造物を作るってのは、すごいねえ。

数キロにわたって続く工事現場を過ぎれば、県道は山越えの隘路と代わる。梅雨前の新緑に包まれる。


龍双ヶ滝 11:19
この県道を選ぶ理由の一つが、中途で出会うこの滝だろう。「龍双坊」という修行僧から命名された滝は、落差60mで右岸の岩壁を洗うように流れ出る。今の時期も美しいが、紅葉の時期は、また一段と映える。「日本滝百選」に選ばれている名瀑。ダムが完成しても、県道と龍双ヶ滝は残されると信じている。

宝慶寺(ほうけいじ)
峠の先には、山寺がひっそりと佇む。こちらも参拝していこう。

「下乗」の先は、スギの大木の参道を歩む。靜かだ。

総門 11:40
石段を登り切ると、「日本曹洞第二道場」と扁額がかかる厳かな総門をくぐる。ひとけの無い山奥にしては、想像以上の荘厳さ。

本堂
境内の正面に、「宝慶寺」の寺号額が中央にかかる間口の広い本堂で、釈迦三尊像を本尊として納めている。右手には、宿坊と思える大きな建物が続いている。調べれば、曹洞宗の総本山である越前「永平寺」の「奥社」ともいわれ、鎌倉時代に中国の高僧「寂円禅師」が開山した。禅宗のお寺に通じる「質実剛健」な美しさが、秘境の深山によりいっそう強調され、とても印象深かった。観光客にあふれた「永平寺」と対照的に、靜かで厳かな境内の空気、何かを感じることが出来ると思うので、山あいの僻地ではあるが、訪れる甲斐はあると思う。

大野盆地 11:57
白山と能郷白山がおりなす稜線は、両白山脈と呼ばれ、冠山峠や温見峠が乗り越える。太平洋と日本海の分水嶺で、文化も南北で大きく異なる。その険しい山脈を乗り越えて到着する大野は、周囲を山に囲まれた盆地ではあるが、ぱーんと開けた景色が、安堵感もともなって、とても気持ちがよい。大きな野っ原、って意味で、「大野」のネーミングはまさに正解だね。

黄金色に輝く畑を見かける。キレイだねえ、ナウシカが降り立った黄金の海も、こんな感じかな。田植えの終わったばかりの水田と、面白い対比。麦であるのは分かるのだけど、この麦は何に使われるのだろうか。粉になるのか、麦飯になるのか。

大野市街
大野城を右手奥に、お城近くのメインストリートは、電柱も地下に移され、キレイな街並。縦横に整然と区画された城下町、なかなか風情があるよ。


福そば 12:20
蕎麦の美味しい福井には、たくさんのそば屋さんアリ。大野の町中で立ち寄るのは、ジモティが多い「福そば」さんだ。週末などは激混みだけど、今日は平日で、ちょいと待ったら座ることが出来た。回転が速いので、待つのもアリです。

おろし蕎麦が定番だと思うけど、ソースカツ丼もご当地グルメなので、盛りそばとのセットメニューをチョイス。ここのお蕎麦は、「相当に」コシが強いので、よく噛んで食べてください_(._.)_。

大野市 13:03
お腹も満腹、市内でイレブンも給油も済ませ、再び山越えで名古屋へ向かう。往路は冠山トンネル、復路は「酷道157号、温見峠」を選択。さ〜、張りきって走りましょう。

大野市から温見峠へ

大野市
お山に入る前に、Gopro をヘルメットのバイザーにセットし、マイクロフォンを背後に固定。温見峠の山越えをノーカットで撮影開始。さっそく、R157らしい「大型車通行不能」という看板がお出迎え。まだナビが無かった大昔、抜け道と思って大型車が進入し、脱輪事故をおこしたという伝説?を聞いたことがある。

真名川ダムの前後は、ダム湖に沿って豪快なワインディングが楽しめる。交通量も絶対的に少ないし、民家もないので飛び出しも怖くない。このあたりを走る限りは、この先に険道が待っているなんて思えないね。

中島 (麻那姫湖青少年旅行村)13:18
走り出して15kmほどで、左手に芝生の大きな公園を通過。すぐ先には、分岐があり、笹生川ダムや伊勢峠を経て、九頭竜に抜ける酷道だ。ちなみにこの緑地、現在はキャンプ場になっているが、1965年の災害までは、西谷村の役場があるほどの大っきな集落(中島)であった。豪雨がこの地の9割以上を流し去り、これを期に「村全体の離村」となった。

巣原林道
中島から5kmほど上ると、右手に分岐有り。この先は廃村の巣原を抜けて、巣原峠に至る。峠を下れば、池田町で梅田氏庭園がある方向だ。9年前に、池田町から部子山、巣原峠を抜けてここに出てきた事がある。道が見えなくなるほどの雑草や崩落が無ければ、冠山峠と温見峠の唯一の抜け道となって、セローだと面白いツーリングができるんだけどね。でも単独行が怖くなってきたので、もうひとりじゃ無理かな(^^ゞ。
以下は、9年前の記事

幅員減少
大野から25kmほど、快走路が続いたが、ついに狭い道に変わる。大型車両もここでUターンが必要、そのためか、左手には転回できる広場があった。

R157は温見川にそって上ってきたが、一部、枝川の「熊河川」に追従するので、ひとつ小さな峠を越える場面がある。小さなヘアピンが数カ所あるのだが、それをバイパスするために、道路が新しく造設されている。たしかに、国道ではあるけど、交通量が絶対的に少ないし、大型車も入らないのだから、その必要性があるんだろうか・・・

温見ストレート
再び温見川に沿った酷道は、温見の集落に入ってきた。クネクネばかりの道だから、集落内の直線路がかなりインパクトあり。いつしか、酷道マニアからは、「温見ストレート」と呼ばれるようになった。実測で800mほどだけど、記憶に残る景観だね。

集落 温見
峠の大野側、もっとも深い場所にある集落が温見だ。廃村と化していたが、近年住人が戻ってきたとの話を聞いた。ところで、AとBの町を繋ぐ峠があった場合、それぞれにB峠、A峠と名付けることが多い。つまり、行く先の集落の名を峠につけるのだ。だから、温見峠の命名も、美濃側の人たちがつけた名称だろう。柳田国男は、このように峠の名前が決まる経緯を「峠の表裏」と称していた。早くから開けた町と遅れた町の立場の強さの違いを、「表と裏」と表現したのだ。これは、面白いと思った。

温見の集落で橋を渡り、温見川の右岸を上る。少しずつ川よりも高度が増してくるので、必然的に右手は崖になってくる。いよいよ、酷道R157らしい険しい景色になってきた。右手の奥にみえる尾根のくびれが峠の場所。

峠までの数キロは、深い沢をいくつか乗り越えて、見通しの悪いカーブが続く。カーブミラーを立てる路肩がないくらい、1.5車線の狭い隘路をゆっくりと進む。

峠の直前では、ヘアピンを2つ3つ乗り越えてグングンと高さをかせぐ。正面は、ここまで走ってきた温見川に沿った深い谷をふり返る図。高度1000m近いので、キャブレターのイレブンは機嫌が悪くなってくる。エンジンの息継ぎで走りにくい、、、ガンバレ、イレブン。

温見峠 13:55 大野の町から約40km、約1時間で標高1020mの温見峠に到着。まっすぐに抜ける峠ってのは、意外と少ないから、温見峠の景観は好きだねえ。トタン板の鳴子があったはずだが、いつしか見当たらない。右手には、能郷白山に至る登山道が始まる。下山をしたあとだろうか、登山者たちのクルマがはけていた。2年前に登頂した能郷白山の様子はこちら。

サクッと峠の空気を吸って、下山開始。この日、対向したクルマは数台、見通しがよければ怖くはないが、何しろ道幅がないので、逃げ場所がない。


洗い越し
峠のさきは、ヘアピンカーブでドンドン高度を下げて、ひたすら根尾西谷川の右岸にそって南下する。峠から5kmほどの区間には、この地方に多い「洗い越し」を数カ所遭遇する。山からの沢の水をそのまま道路に流す治水の方法。橋を架ける対費用効果を考えての選択、災害時の復旧の容易さなどで存続している。路面に滑りがあるので、バイクを「立てた」ままで、ゆっくり通過すべし。滑って沢に落ちたら、そのまま崖下の本流まで真っ逆さまだ。

くだりの大詰め、右に川が屈曲する「根尾堰堤」を過ぎた先は、いよいよ険しい区間となる。右は岩壁、左は谷という状況が終点までの5kmは、気を抜かない方がよい。

垂直な崖が目に入ると、どうしてもハンドルに力が入ってそちらに向かってしまう。路肩がほとんど無いので、ガードレールも取り付けられないのだろう。路傍の草がますます路肩を隠すので、どこまで寄っていいのか分からない。

反射板のポールがところどころに、それをトラロープで繋いでいるけど、まったく役に立たない。ゲンコツよりも大きな落石もゴロゴロしているので、そんなのにハンドル撮られたら、谷に転落。落ちたら、だれも気づいてはくれないだろう。対岸にも道は無いので、そのまま朽ちる。

能郷ゲート 14:39
一昨年の林道での転倒以来、フロントタイヤの接地感を信じれなくなって、ちょいとトラウマが残っている。なんども、温見峠を乗り越えてきたけど、今回は、妙に恐ろしかった。齢を経たせいかな。。。大野から、美濃側の能郷にあるケートまで、約60km、大野からは、1時間40分で峠を越えてきた。なんだかんだといっても、冒険心を満たしてくれる「酷道」が好きだなあ。

樽見駅 14:53
能郷から、薄墨桜の里、樽見に降りてきた。丁度、樽見線のピンクの電車が入線してきた。薄墨桜のピンクをイメージして、この2月にラッピングされたスペシャル車両。「モトスミライ号」と命名された列車は、岐阜高専美術部と本巣松陽高校の生徒によるデザイン。ボディ、内装、ヘッドマーク、そしてネーミングも学生たちのアイディアだそうな。偶然の出会いだったから、らっき〜。
大野から能郷まで 「垂れ流し」の動画を残しました。走れなくなったら、これ見て満足しよう(^^ゞ。
小生が梅田氏庭園を訪れた時に、2社の取材陣が入っていたが、さっそくその日の夕に、Webのニュースに上がっていたね。
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