
再販版とはいえ、40年近く経ってしまったデカール、しかも一部が破れている。これは使えないね。

2012年にエッチングパーツを追加した復刻版が販売されていた。なので、ダメモトで問い合わせをしたら、タミヤからそのデカールを手に入れることが出来た。これで、安堵したが、、、デカールに何かが足りない、しかも大事な物が、、、。

そう、タミヤの再販デカールは、「J.P.S」のロゴとマークが省かれているのだ。当時のJ.P.Sと取り交わした契約が切れていて、商品化出来ないのだと思われる。ということで、マーケットに流通しているデカールキットを取り寄せた。J.P.Sのマークが無くちゃ、サマにならないよね。2012年の復刻版キットは、ロゴやマークの無い、ストライブだけのキットだったのだ。

細いストライブを次々と貼り合わせる地味な作業が続く。まずは、目立つアッパーカウルのストライブ貼り。ん〜〜、ゴールドのストライブはブラックに映えるねえ。ロータス78も製作したが、同じ「J・P・S」カラーなんだけど、72のストライブは「ゴールド」、78は「ベージュ」と説明されている。

水浸し、ベタベタの状態で、慎重に台紙からストライブを移す。細いので、反転したり、折れたり、無理すると簡単にちぎれてしまう。

綿棒とピンセット、時には指を使って、デカールを展開し正規の位置にデカールを合わせる。時間との勝負ってのもあり、気を遣う。


どでかいリアウイングのストライブは、大きいだけあって、さらに扱いにくい。「奇跡的に」ちぎれないで、まあまあな貼り付けに成功。

フロントカウルは目立つ場所なので、より慎重に。カウルの前後でストライブがぴったしになるよう、ボディを仮止めしてストライブをまっすぐに位置決めする。

このマークが入ると、ビシッとかっこよくなるね。

ソフターを用いて、デカールを柔らかくし、ボディに馴染むように加工。すべてのデカールを貼り終えて、乾燥機でひと晩。

ボディを組むのをあとまわしにしたのは、最後にデカールの上からクリアー塗装をしたかったから。これにより、デカールも落ち着き、何より全体のつやが増すのがいい。黒の単色塗りは、ムラやタレも目立ちやすいが、なんとか許せる範囲で仕上がってくれた。クリア塗装をさらに磨き出す手法もあり、それによりもっとつやが出て、ピカピカの実車の様な仕上がりになる。が、小生は、これにて終了(^^)。

組み立て図では、最初にこのボディとコクピットを接着するところからはじまるが、塗装の手順のために、最後の最後にボディを組み立てる。

塗装の済んだボディなので、汚したくない(^^)。しっかり圧着させたいので、ゴムバンドでグルグル巻き。バンドの跡がつかないように、ペーパータオルで養生する。

接着剤のはみだしも最小限で、キレイにボディの接着完了。クリアボンドは、はみ出しても上手くやれば後で取り除けるところもよい。

ボディが組み上がったので、やっといろいろパーツをくっつけること出来る。フロントカウルは、はめ込みだけなので、その後も内部を見ることができる。フロントブレーキローターは、たいていアップライトの位置に接して取り付けられるけど、ロータスはわざわざ重いシャフトで繋いで、ローターをボディ中央に配置している。これにより、フロントの足回りばね下重量は軽減されるだろうから、サスペンションの動きはよくなるだろう。トーションバーといい、この追加シャフトといい、重量が増える設計をしても、メリットがあったんだろうな。

ラジエターのサイドカウルも注意して接着する。目立つ場所なので、クリアーボンドのはみ出しは気をつける。

お〜〜、なんとか見栄えよくくっついたよ。指紋がつきやすい黒は、手袋での操作が必要だね。

ボディとリアセクションは、オス・メスのツメと4本のロッドで合体させる。葉巻型フォーミューラーカーでは、よくある接合方法。

ロッドの先端をパチンとエンジンとアップライトに組み込むのだけど、足回り側の受けの向きがあっていないので、接合できない。どうしようかと考えたが。ロッドを切断し、内部に針金で芯を作り、ねじりを作って対応した。

そう、この状態で差し込んで瞬間接着剤でロッドを接合すれば、無事解決。

シリンダーヘッドとボディをパチンとはめ込むのだけど、これも広げたり、削ったりして、ようやくはまってくれた。冷や汗ものだ。

この部分の接合を組み立て図には書かれていない。なので、はめ込まれていない完成品も多いんじゃないかな。はめ込まないと、この部分でポキリと折れちゃう心配もあるね。

輪ゴムを使って、ロッドの接合部を圧着させる。ラジエターホースなども接合して、概ねボディの骨格が完成した。

どでかいリアウイングは、やわなステーで固定されるので、この接着も気を遣った。クランプで仮止めした上で、浸透性の接着材を流し込んで完成。

ロールバーはお決まりのメッキメッキした姿。クラシックなF1に欠かせないアイテムだよ。

シンプルなコクピット。回転計と油圧、電圧、電流計などであろう。現代のF1はステアリングにスイッチが集中して、計器板は液晶モニターだけって感じだね。

ドライバーが付属しているが、乗せようか止めようか ちょいと悩んだけど、オリジナルキットに敬意を払って、乗せてみましょう。ヘルメットもボディも前後のモナカ状で貼り合わせるので、その接合ラインを消す必要あり。ガリガリ、ナイフとヤスリで整えた。

モールドされた細かな部分は、筆塗りで塗り分ける。当時の写真から、ライトグレーなレーシングスーツとブルーのシートベルトを採用。

1960年初頭のF1には、シートベルトが採用されなかったが、1968年のロータスに乗るジム・クラークの激突死がきっかけとなって、1970年に登場した72Dでは、しっかりと6点シートベルトが採用されている。

コクピットにすべりこませるが、上体のほとんどが、ボディシェルから飛び出している。これでは、クラッシュ時に、ドライバーはむき出しで外力を受けやすいだろうな。

ハンドルをにぎらせるために、左右の腕を最後に接着。

次いでヘルメットの塗装に入る。顔を肌色に塗って、マスキングし、その上からレッドでスプレー塗装。乾いたら、マスキングゾルで全体をマスキングし、黒を入れたいところで、カッティング。

ブラックをスプレーで塗装して、大まかな塗り分けが完成。苦手な「目」を入れて、まゆげも、、、、ゲジゲジ眉毛になってしまった。。。鼻が妙に大きいのは、エマーソンフィッティパルディを意識したんじゃないだろうか(^^)。

ヘルメットを接着して組み立て終了。ボディの塗装を最優先にしたので、製作工程は前後した。あとは、前後ホイールをナットなどで締め付けて完成。



1972年に登場したロータス72Dは、メインスポンサーのイギリスのタバコメーカーの銘柄の1つ、「J,P,S」のパッケージを模したカラーリングとなりる。走る棺桶と揶揄されたりもしたが、開幕から連勝を続け、その優勝マークがリアウイングに誇らしげに光る。そのシーズンは、ティレルを抑えて、ファクトリー優勝、さらには、エマーソンフィッティパルディのチャンピオン獲得をもたらした。安定した成績を残した72Dは、1970年から4年の間、ロータスの主役として活躍。

フロントにラジエターを配置する葉巻型F1から、車体のサイドに配置した72Dは、エポックメイキングであり、以降、他メーカーも追随し、70年代前半のトレンドとなった。

エマーソンフィッティパルディは、ロータスでF1デビュー。1970年のアメリカGPで初優勝、ブラジル人としては初めての快挙だった。彼の後には、ネルソン・ピケやアイルトン・セナといったブラジル人ドライバーのビッグネームが続いた。

さて、写真に収めたら、仲間の待つショー−ケースに移動、年代順の列に加えよう。
J.P.S.MK.Ⅲ ロータス78の製作記はこちら