
穂高連峰

中の湯 露天風呂(拾い物画像)
焼岳縦走を終え、美味い夕食を頂き、「爆睡」あけの朝がやってきた。なにはともあれ、起床したらタオル片手に、露天風呂へ。下肢の筋肉が張っているのは分かるけど、関節の痛みはない。これなら、今日も山に上がれるだろう。

中の湯温泉 ラウンジ
明るいラウンジからは、明神岳と前穂高がクッキリ見えている。こりゃ、お山に登るしかないでしょう(^^)。設置された望遠鏡をのぞけば、頂が飛び込んできた。

朝食 7:00
早めの朝食時間を選んでいたので、7時に食堂に足を運ぶ。Hさんもがっつり休めて、体力回復OKのよう。昨夜の時点で打ち合わせしていたが、天候も良いようなので、作戦どおり、西穂独標を今日の目標とした。であれば、美味しい朝飯、お替わりして体力つけよう。

アルプス大橋 8:35
8時に中の湯温泉旅館を出発。安房トンネルをビューンと、平湯から新穂高にワープ。新穂高温泉に入り、右折して中尾温泉を通過。中途、ロープウエイ駅に向かうアルプス大橋は、相変わらずSNS映えする景色だ。誰もいないことをいいことに、クルマを駐めて写真に納める。正面の見上げるお山たちも、数時間したら、水平の目線で眺めることが出来るだろう。

鍋平高原駐車場
西穂独標へのアプローチは、新穂高ロープウエイを使って、山頂駅から西穂山荘を経て、西穂独標に至るルート。新穂高ロープウエイの中間駅の駐車場にクルマを置いて、山行の準備で歩き出す。

新穂高ロープウエイ しらかば平駅 8:51
中間駅のしらかば平駅に到着。予定した便に間に合いそうだ。


2階建てロープウエイ 8:56
往復のチケットを買って、新穂高ロープウエイに乗りこむ。国内では唯一の2階建て、収容できるキャパを増やしている。5年前にドイツ製のゴンドラが導入され、105人の定員だそうな。

鍋平高原駐車場
スルスルと、というより、メチャ早くゴンドラが登る。クルマを駐めた駐車場が小さくなってゆく。駐車場周辺は、20年前まで、新穂高スキー場があった場所だ。

新穂高ロープウエイスキー場
バブル時代、小生夫婦は、スキーに首ったけ。新穂高にあったスキー場にも足を運んだ。先ほどの駐車場は、ゲレンデ最下段の緩斜面でファミリー向けゲレンデがあったところ。リフト3本で上がれば、中腹の千石平ゲレンデがメインだった。極めつけは、頂上駅から尾根を下ってくる「パノラマゲレンデ」で、天候が良くないとオープンしていなかった。たった一度だけ、快晴の日に、かみさんと二人で頂上から挑戦したことがあった。狭い尾根の斜面は、膝上までの新雪。それを抑えきる技術もなくて、半べそかきながら下まで降りてきた「苦い」思い出がある(^^)。ロープウエイともども、名鉄観光の運営であったが、赤字のために2003年に閉鎖となった。

西穂高口駅 9:07
すでに2000mの高度があるので、気温は13度。陽射しがあるので大丈夫だけど、風でもふいたら長袖でも寒い。まわりは、早い時間もあって、大半が山行の人たちだ。

槍の回廊 9:26
頂上駅周辺は、観光用の施設がずいぶんと新設されている。120度ほどのアーチを描いた回廊は、正面に見える槍ヶ岳から、「槍の回廊」と気どった名称がついている。槍なんて、ちっちゃくしか見えないのに、受け狙いだなあ(^^ゞ。

回廊は、斜面の樹木が払われて、突出しているので、広角で景色が楽しめる。右手前は西穂高岳などの山塊。あ〜〜、すばらしい日に訪れる事ができて、ありがとう。

奥のお山を倍率上げて観察すれば、西穂高の尾根の先に、尖った山頂の槍ヶ岳も見えている。右手から、南岳、中岳、そして最深部に槍ヶ岳。生涯で一度は登ってみたい山たちだ。

スマホの倍率目一杯で西穂高を捉える。西穂高岳は、南西の稜線に13の岩峰をかかえるのこぎりのような山容だ。正面のピークが西穂高山頂(1峰)、右につづくピークには、4峰(チャンピオン)、8峰(ピラミッド)、11峰(独標)と名前も付いている、いちばん右のなだらかなピークが「西穂丸山」で、これからめざす独標はその左の岩峰だ。いけるかなあ、遠そうだよ。

西穂高口 9:33
団体バス旅行の皆さんは、ここまで。いよいよ、憧れの西穂独標に向けて、出発。山荘で食事をとる予定だから、背中には毎度のおにぎりを積まず。もしも余裕があれば、バーナーでコーヒーでも楽しもう。

Geographica
この日の歩行ログ。ロープウエイから尾根を上がり、穂高連峰の稜線上にある西穂山荘にむかう。そこから独標を目指して稜線上を北東に進む。15時台のロープウエイには乗りたいので、6時間弱の山行を予定する。

尾根の道を進むのだけど、森林に阻まれて、なかなかお山の姿は見せてもらえない。ちょっと広くなって、お山が見える場所では、皆さん、小休止。この場所で会話したのは、半袖半ズボンの30代くらいの白人カップル。アメリカのイリノイ州から、40日の日本旅行を満喫中。東京から大阪に向かう途中で、この日は溫泉宿に泊まるよう。彼女が「新婚旅行なんです」って、教えてくれたから、「おめでとう〜〜」と祝福した(^^)。

尾根道は大きな岩や階段などで整備されていて歩きやすい。結構な急登部分もあったが、明るい登山路だから気分がいい。

もう少しで稜線に出るあたり、登りの角度はさらにキツくなって、小休止を繰り返す。白人のカップル登山を多く見かけるが、年代も若いので、あっという間に追い越され、見えなくなってしまう。彼らはごく薄着の軽装、肉食でそだってきた人種は違うねえ(°0°)。

やっとめざす中間地点の西穂山荘が見えてきた〜。こんな場面って、ホントに嬉しいよね。

西穂高山荘 10:36
登山口から尾根を登って、丁度1時間で西穂山荘に到着。山荘の背景に、雲を頂く乗鞍岳がドッシリと。

西穂高岳 分岐 10:43
復路で山荘によって食事の予定。まずは、独標を目指して、西穂高岳に続く稜線を歩き出すよ。

山頂からの登り序盤は、大きな岩がゴロゴロした急登。ドンドン高度があがるので、ふり返れば絶景が待っていた。赤い屋根の西穂山荘に、続く稜線の向こうに、昨日の焼岳が丸裸で全貌を見せている。もう一日、計画が遅かったら、完璧だったのにねえ(^^)。

歩む左手は、谷間の新穂高温泉街をはさんで、ほぼ同等の高さの錫杖岳が尖った山頂を見せている。雲が隠している頂は、笠ヶ岳だ。この先、ガスが少しずつ増えてきて、これらのお山も、ガスを被るようになってしまった。

山荘からの大岩ゴロゴロを登り切ると、前方の視界も開けて、超絶、爽快。Hさんがめざす独標を示している。でも、まだまだ先は長いね、がんばろう。

稜線上は ハイマツの混じる岩場が続く。西穂高の11のピークが一堂に並ぶ。左の西穂岳山頂、ミラミッドのとんがりが8峰、そして右橋の岩の盛り上がりが11峰の独標だろう。
稜線のケルン 11:06
登山路はほとんど岩ばかりだけど、このあたりは歩きやすい土だね。座りやすそうな石もあって、ひと息場所には最適。

西穂丸山 11:09
ひとつの目標地に到着。緩やかな丘のようだから、丸山ってのも納得だね。山荘から30分弱、まあまあなペースかな。
西穂丸山からのパノラマ
前穂高岳と明神岳
右のすそ野の先には、穂高連峰の明神岳、そしてピークの前穂高岳が姿を現している。2年前に上高地の明神池から見上げた明神岳はかっこ良かったなあ。この山容は朝、中の湯から見えたお山たち。クッキリ見えた前穂高の写真はこの日、この1枚だけ。

ここから先は、こんな感じのゴロゴロ岩が続く。よく見れば、登山者が踏みしめたわだちが見えるので、これをたどれば滑らずに歩きやすい。

ふり返れば、昇ってきた稜線の登山路がよく分かる。見上げて先がずーっと見える登山路って、あんまり好きじゃないなあ。だって、ちっとも届かない。

登山路を示すマークを頼りに、稜線を進む。いよいよ、西穂独標とその先のピークが近づいてきた。大小のピークを次々と通過する達成感は、西穂高岳登山の醍醐味だろう。ソロの赤シャツの方が声を掛けてくる。「私にはこの先は危ないから、引き返します。会社から怪我したら大目玉を食らうので、、、」なんて話される。「分かりました、それじゃあ、私がお連れしましょう」なんて、かっこ良く言えないので、ごめんなさいね_(._.)_。

西穂独標 11:55
いよいよ独標が近づいてきた。だけど、なんだかガスがかかってきたよ。え〜〜、もうちょっと、ガスさん、我慢してよ〜。


12峰
11峰の独標の手前だから、12峰。岩に描かれたマークを頼りに、左から巻いて乗り越える。Hさんも降りてきて、独標の岩壁を前にしてひと息。意地悪なことに、今日の頂を攻める場面で、ガスが襲ってきた。

西穂独標 12:02
さて、ラスボスのように、高さ30mほどの独標の岩壁がそびえ立つ。ポールはたたんでリュックに固定、手袋を確認して、覚悟は出来たかな、さあがんばって、昇るよ〜
西穂独標 登り
山行記 28 西穂独標 頂とくだり に続く
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